輸入車[2020.03.04 UP]
MINI CROSSOVER/気になる中古車【試乗判定】 人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)が真剣チェック!
文●竹岡圭、九島辰也、グーワールド 写真●グーワールド
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年4月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?
この記事の目次
関連情報
輸入車Member Profile
自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
自動車ジャーナリスト【九島辰也】
長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
MINIファミリーの可能性を広げたクロスオーバーSUV
Bセグ以上Cセグ以下の絶妙なボディサイズ
編集部●中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はMINIから人気のSUVモデルであるクロスオーバーが登場です。お借りしたのは2016年モデルの「クーパー クロスオーバー」で、走行距離は4万9000kmです。
九島●懐かしいね。僕はこのクロスオーバーに1年間乗ってたことがあるんだよ。当時ロンドンで黒のクルマが流行っていたのにインスパイアされて、ボディとホイールが黒でね、内装は白にしてもらったんだ。
編集部●竹岡さんも歴代MINIを乗り継いでいらっしゃいますよね。
竹岡●初代クーパーのCVTでしょ、2代目ワンのMTでしょ、次が3代目5ドアのクーパー、そしていまの愛車シロちゃん(2代目クロスオーバー)で、4台も乗ってる(笑)。ほかにもいいクルマがあるのはわかってるんだけど、このサイズで走りにもこだわると、結局はMINIになっちゃうんだよね。
九島●ブランド側の「MINIはこういうものです」っていうメッセージと、ユーザーの求めるMINI像が一致している。そういうクルマはほかにあまりないんだよ。それでこのクロスオーバーというモデルは、MINIの世界観をキープしながら、ちゃんと実用性を高めている。3ドアユーザーのライフスタイルが変わったときのための、MINIブランドとしての受け皿が用意できた。
竹岡●クラブマンよりも、もっと使いやすさ重視だよね。これならファミリーでも文句なし。VWのゴルフより全長はちょっと短いんだけど、室内の広さや使い勝手は負けてない。出たばかりのときは、「全然ミニじゃないじゃないか!」なんて声もあったけど、MINIはサイズではなく、「名字」ですから(笑)。結局じわじわ人気が出て、いつの間にかシリーズでいちばんの人気モノになった。
編集部●最近流行のコンパクトSUVの先駆けでもありましたね。
九島●そうだね。当時のSUVは高くて大きなクルマばかりだった。
竹岡●日本仕様は立体駐車場に入れるように工夫されているし、使いやすい。でも、内装なんかはちゃんとMINIらしい遊び心を感じる。室内の真ん中にレールがとおった4人乗り仕様とかね。あんまり人気はなかったみたいだけど(笑)。
九島●でも、そういう振り切った挑戦がMINIらしさでもある。
編集部●本日試乗していただくのは2011年に登場した初代モデルです。グレード構成はワン(98馬力)、クーパー(122馬力)、クーパーS(184馬力)、そして4WDのクーパーS ALL4(184馬力)の4モデル。エンジンは1.6Lの直4で、クーパーSのみターボ。それぞれでATとMTが選べました。
竹岡●途中からディーゼルが追加になって人気モデルになったよね。
編集部●そのとおりです。2014年のマイナーチェンジで2L直4ディーゼルターボ(クーパーDが112馬力、クーパーSDが143馬力)が追加になりました。
九島●試乗するのは、マイナーチェンジ後のクーパーだよね。久しぶりに乗るから楽しみだな。
編集部●ではそろそろ、試乗の方をよろしくお願いします。
九島「走らせている実感が強く運転そのものが楽しい!」
竹岡「MINIの愛らしさと実用性のバランスが抜群!」
DETAIL CHECK
年式や走行距離を感じさせないしっかり感に一同感動
編集部●試乗から戻ってきた二人に感想を伺いましょう。
九島●すごい楽しかった! 最近のクルマはコンピューターがドライバーをサポートしてくれるのはいいんだけどデジタル感が強いじゃない。このクルマはプリミティブなフィーリングで運転が楽しい。
竹岡●4年落ちで走行距離も5万kmくらい走っているわりには、クルマがカッチリしてるよね。まだまだ全然大丈夫。そういえば、私のこれまで乗ってきたMINIも、ヤレを感じて手放したことはなかったな。MINIってしっかりしてるのかもね。
編集部●二人とも笑顔です。クロスオーバーは2017年2月にフルモデルチェンジしていて、この初代は中古車相場もこなれてきました。
竹岡●私は現行型クロスオーバーに乗ってるけど、生活の足として乗るならこれでも全然問題ないね。相場はどれくらいなの?
編集部●前期型は100万円前半がボリュームゾーンですから、クーパーであれば総額100万円台でかなり状態のいいものが選べます。後期モデルとなると、100万円後半からで台数も少なくなります。
九島●オススメはディーゼルエンジンを積んだ後期モデルなんだけど、価格的にはやっぱり高い?
編集部●クーパーDであれば総額200万円以下も可能ですが、クーパーSDになると状態のいいものは200万円以上してしまいます。
竹岡●MINIは値段落ちないね。後期型で追加されたジャングルグリーンなんてけっこう好きだけどな。
九島●やっぱりMINIはボディカラー大事だからね。個性的な色を選んでもらいたいな。
MINIらしさを受け継いだ遊び心たっぷりのインテリア
インテリアの雰囲気はハッチバックとほぼ同じ。これぞMINIと思わせるテイストが貫かれている。それでいながらヒップポイントが高いため、前方の見晴らしに優れ、運転しやすいのが特徴。ユニークなのは、マニュアル仕様が各グレードに用意されていること。そこもMINIらしい。
後席シートはスライドと角度調整可能で使い勝手よし
MINIのデザインDNAをSUVに取り入れたクロスオーバー。それゆえ室内はシリーズでもっとも広い。後席は前後スライドとリクライニングが備わり長距離移動でも快適。また、後席がセパレートとなり、中央にアクセサリーを装着できるレールが備わる仕様も販売されていた。
SUVとしてアウトドアニーズにも応えてくれるラゲッジルーム
これまでのMINIと一線を画するのが、ラゲッジルームの使い勝手。容量は標準状態で350L、最大で1170Lまで拡大可能で、4対2対4分割可倒式リヤシートによる豊富なアレンジメントを誇る。アウトドアやファミリーカーとして使いたいというニーズにしっかりこたえる荷室だ。
マイナーチェンジ後のモデルではディーゼルエンジンが主流に
前期モデルは1.6L直4NA(ワンが98馬力、クーパーが122馬力)と1.6L直4ターボ(クーパーS、クーパーS ALL4ともに184馬力)で、それぞれにMTとATを用意。後期モデルになり、2L直4ターボディーゼル(クーパーDが112馬力、クーパーSDが143馬力)が追加された。
試乗判定レビュー
竹岡 圭
こんな大きなのがMINI?っていう方も多いですが「MINIは名字なんです!」と、私はよく言っております。ふたを開ければ最後は全MINIのなかで、日本ではクロスオーバーがいちばん売れている状況になったりもしたんですからニーズはあるんです。4枚ドアのMINIは、当時はこれしかなかったですしね。サイズ的にも超便利なクロスオーバーSUVです。
MINIはいわゆる先進安全&ドライバーサポート装備系の導入は遅かったですし、さらにこちらはアイドリングストップ機構もナシ。イマドキに鑑みるともの足りなさはあるかもしれませんが、インテリアはMINIらしさたっぷりだし、センターコンソールはレールにアタッチメントを装着して、自分なりにアレンジできたりと楽しさいっぱいです。
MINIらしい機敏さと、SUVになったことでのゆったり感がほどよくマッチしているのがこのモデル。オフロードから高速道路まで、ほどほどにすべて得意としている感じがとっても使いやすいんです。この個体もけっこう走ってましたがヤレてる感はまるでナシ。ディーゼルエンジンモデルも雰囲気に似合ってるし、トルクもあってオススメですよ。
- 平均点
- 4.8
- ポジショニング
- 5.0
- 装備
- 4.5
- 走り
- 5.0
九島辰也
3ドアとその派生版であるクラブマンだけではカバーできなかった実用性重視のユーザーたちにとっては、待ってましたの1台。このクロスオーバーの登場によって、MINIだけでほとんどの需要をカバーできるようになったのだからその意義は大きいし、実際よく売れている。デザインはどこから見てもMINIらしく、そのポップな雰囲気はいま見ても楽しい。
大人4人が出かけるための装備が整っているのがなによりポイント。それはシートのサイズであったり荷物の収容スペースであったりで、同じような全長のクラブマンと比べても圧倒的に使いやすい。2011年デビューということもあって先進安全装備は期待できない。だが、中古車として値段込みで考えるなら、個人的には十分にアリだと思う。
ハッチバックと形は変わっても走らせたらちゃんと「MINI」しているのが不思議だ。ステアリングは適度に重く手ごたえがあり、ハンドリングもいわゆるゴーカートフィーリングの雰囲気をSUV的な穏やかさのなかに感じることができる。今回試乗したクーパーも悪くないが、個人的なチョイスはディーゼルエンジン。ちょっとゴロゴロうるさいが、それも味だ。
- 平均点
- 4.8
- ポジショニング
- 5.0
- 装備
- 4.5
- 走り
- 5.0
グーワールド 編集部
暮らしに趣味性や華やぎを求めるユーザーにとって、SUVタイプのクロスオーバーはぴったり。また、アイポイントの高さは運転のしやすさにも直結するため、小柄な女性や運転をあまり得意としないユーザーにもオススメできます。MINIの人気は中古車市場でも同じですが、クロスオーバーは台数が多く、初代モデルは年式的にもずいぶん価格がこなれました。
MINI自体が小型車としては充実した装備を誇るため、基本的な快適装備については心配無用。一方でナビについては、センターメーターのところにモニターが収まる純正ナビも存在するが、社外品を装着する場合はフィッティングが少々強引なことも。また、パッケージオプションによって内外装を個性化できるMINIだけに、中古車選びの際にもこだわりたい。
最近のクルマと比較してエンジンの存在感が強く、アクセルを踏み込むと力強いビートとともに車体を加速させます。クーパーであっても十分な性能ではありますが、ディーゼルエンジンを搭載したクーパーSDの加速はさらに強烈で、走りにこだわるなら試乗をオススメします。ただし、アイドリングストップが備わらないのが唯一の残念なポイント。
- 平均点
- 4.8
- ポジショニング
- 5.0
- 装備
- 4.5
- 走り
- 5.0
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March 04, 2020 at 05:00AM
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