自民党の森山裕国対委員長は28日、立憲民主党の安住淳国対委員長と国会内で会談し、新型コロナウイルス対策の感染症法改正案から刑事罰の規定をなくすと伝達した。懲役は削除し、金銭罰の規定は罰金から前科のつかない行政罰の過料に変える。具体的な過料額などは改めて詰めるが、減額する方向だ。安住氏は森山氏の提案を評価。感染症法、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を巡る与野党の修正協議は、29日の国会審議入りの直前で大きく前進した。
一連の改正関連法案では感染症法改正案のみ刑事罰を含んでいたため、追加予定の罰則規定から刑事罰が全廃されることになる。
感染症法改正案に追加されていた刑事罰は、入院拒否者に対する「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」と、疫学調査を拒否した人への「50万円以下の罰金」。立憲は27日までの修正協議で、前科の残る刑事罰に反対する意向を繰り返し伝えており、自民が要求を受け入れた形だ。
政府・与党は従来、懲役規定の削除や罰金額の軽減に理解を示す一方で、罰金を過料に変更することは、既存の罰則との兼ね合いから「バランスが崩れる」などと難色を示していた。
約30分間の会談後、森山氏は記者団の取材に対し「政府ともよく協議し、感染症法は刑事罰ではなく行政罰として過料を求めていくという基本的な考え方を野党にお伝えした」と述べた。午後に改めて特措法を含む改正関連法案全体の協議を安住氏と行う予定だとした上で、最終的な決着は幹事長同士の協議に委ねる考えも示した。28日中の最終決着を目指すという。
安住氏は会談後、森山氏に「高く評価する」と伝えたと明かし、今後は特措法改正案に盛り込まれた営業時間の短縮命令を拒否した事業者への過料など、金銭罰規定の減額に取り組むとした。
会談では時短に応じた事業者への財政支援についても「十分な財政措置が必要」との認識で一致したという。【東久保逸夫、宮原健太】
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