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Friday, July 12, 2024

ソニー、輝度爆上げの最上位4KミニLED液晶「ブラビア9」。22bitの新ドライバーで光緻密制御 - AV Watch

85型「K-85XR90」

ソニーは、“4Kブラビア史上最高輝度”を実現したミニLED液晶テレビ「XR90」(BRAVIA 9/ブラビア 9)シリーズを、8月10日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は85型「K-85XR90」が110万円前後、75型「K-75XR90」が82.5万円前後、65型「K-65XR90」が66万円前後。

2023年発売のミニLED液晶「X95L」シリーズの後継機。定評ある独自のLED制御技術「XRバックライトマスタードライブ(BMD)」を進化させ、更なる高輝度化と緻密な部分駆動だけでなく、電力効率も向上させた。また、世界初のビームツイーターを天面に内蔵し、立体音響の再現性も高めた。

ほかにも、クリエイターの意図を忠実に再現する画質モード(Studio Calibrated)や、人の声だけを抽出して聴こえやすくするボイスズーム、スマホでテレビを操作するブラビアコネクト、PlayStation本体を遠隔操作するリモートプレイ機能などをサポートした。

なお、ソニーはミニLED搭載のXR90を“フラッグシップモデル”と定義。「有機ELを超えるポテンシャルを持つデバイスとして、ミニLEDの更なる立ち上げを目指す」としている。

また、今期よりプロモーションのキャッチフレーズを「CINEMA IS COMING HOME」に変更。全世界でブラビアとサウンドバーを組み合わせた“映画訴求”を強化していく。

同時発表の、もう一つのミニLED液晶シリーズ「XR70」(BRAVIA 7)のほか、有機EL「XR80」(BRAVIA 8)、QD-OLED搭載の「A95L」は別記事で紹介している。

BMDが大幅進化。ゴマ粒よりも小さい22bitドライバーがキモ?

XR90は、85・75・65型共に、4K/3,840×2,160ピクセルの倍速液晶パネルを採用する。光源には、微細な青色LEDを全面に敷き詰め、高精度に部分制御させるミニLEDバックライトシステムを導入。色変換効率に優れ、純度の高い波長が得られる量子ドットシートと組み合わせることで、高コントラストかつ広色域な映像表示を可能にしている。

新モデルで変わったのが、ミニLED光源をコントロールする「LEDドライバー」。今回新たに、ソニーセミコンダクタと共同開発した独自の超小型LEDドライバー(マイクロIC)を実装した。

バックライトの基板
指先にあるのが、ソニーセミコンダクタと共同開発したという新LEDドライバー。なお、LEDドライバーそのものは従来機種も搭載している
サイズは米粒やゴマ粒よりも小さい、新しいLEDドライバー(写真中央の黒いもの)。なお周囲の円内にある薄い緑色のものがミニLEDチップ

従来よりも大幅に小さい、ゴマ粒以下のドライバーが、区画内に配置されたミニLEDを22bit制御で緻密にコントロール。加えて、ピーク電力使用量を抑え、電力消費時間を長くする制御によって電力効率の向上も実現。X95L比でエリア分割数は3倍超、ピーク輝度は1.5倍と達成しながら、消費電力の削減も果たした。

プレス向けの説明会では、65型のXR90とピーク輝度4,000nitsの最新マスモニ「BVM-HX3110」、全白1,000nitsの「BVM-HX310」を比較展示。おおよそのピーク輝度を示すデモ映像(4,000nitsグレーディング)を表示させたところ、HX3110の描写には届かないものの、XR90はピーク3,000nitsを超える程度の明るさが再現できているように見えた。

担当者は「数値は非公表だが、ブラビア9の明るさは4Kブラビア史上最大を誇る。プロセッサーの信号処理と独自の新LEDドライバーが、BMD技術を大幅に進化させた。22bitという高ビットな制御も我々独自のもの」と話す。

写真左下が「BVM-HX310」、右上が「K-65XR90」、右下が「BVM-HX3110」

独自の認知特性プロセッサー「XR」は、2024年の最新バージョンを搭載。最新バージョンでは、AIを使った新たな検出機能を搭載したことで画質のさらなる向上を実現。特に、緑色のオブジェクトと人間の顔の認識精度が強化された。

例えば、X95L世代では緑色のものを認識するだけだったが、XR90では、景色の中の緑色のものから“緑色の木”というのが認識できるようになり、その場合、木の精細感を向上させるような処理を実施。また横を向いた顔やズームで一部が切れてしまった顔、大人数が写っている場合など、X95Lでは“顔”と判断できなかったシーンも、XR90は人の顔と認識して「より自然な顔の表情を映し出せるようになった」という。

動画配信サービス・Prime Video向けの画質モードも追加された。ブラビアはこれまで、NetflixとSONY PICTURES CORE(旧BRAVIA CORE)向けの画質モードを搭載していたが、2024年モデルからはPrime Videoも追加される。

各サービスで名称は異なるが、基本的な狙いは“クリエイターの意図を忠実に再現する”もの。ソニーとVODサービス会社が協業することで、VODコンテンツを視聴する際、部屋の環境に合わせて、ブラビアが自動的に最適な画質設定に調整してくれる。「制作者の意図通りに表示する」という近年の潮流に沿ったもので、コンテンツのメタデータ情報を参照しつつ、視聴環境に応じた画に変化させる仕組み。

Prime Videoであれば、映画だけでなく、スポーツ中継やその他さまざまなコンテンツを部屋の環境に合わせて自動調整するとのこと。

基本的に、上記モードは自動でONになるそうだが、OFFにすることも可能。ただし、SONY PICTURES CORE画質モードは明るさ設定が固定になる。

また、BRAVIA CAMと連動させた自動画音質調整も追加。部屋の壁の色が明るい場合、反射により映像の明暗が見えにくくなる場合があるが、BRAVIA CAMを使えば、カメラが壁の色を検出。映像を自動的に調整し、画像の明暗が見えやすくなるという。

独自の光学設計により、視野角性能を大幅に改善する「エックス ワイド アングル」は全サイズに搭載。一般的な液晶テレビはバックライトの光を真っ直ぐに透過させるが、同技術を使う事により、光が左右に拡散。高コントラストと広視野角が両立でき、斜めから観た場合でも、正面と同等の高画質を実現する。独自の低反射コート「エックス アンチリフレクション」と組みわせることで、外光の反射を抑えることで引き締まった黒を表現しながら、艶やかで豊かな発色の表示を可能にした。

このほか、広色域化技術「XR トリルミナス プロ」や超解像「XR 4Kアップスケーリング」、コマ補間「XR モーション クラリティ―」も引き続き搭載。HDR10、HLG、Dolby VisionのHDR規格もサポートする。

天井に向けて反射させるビームツイーター搭載

サウンドシステム「アコースティック マルチ オーディオ プラス」も改良。XR90では、世界初という“ビームツイーター”が搭載された。

このツイーターはパネルの背面上部に、上向きに設置されていて、天井に反射させて音を視聴者に届ける高音域用のユニット。前向きスリットのフルレンジスピーカーと、側面のフレームツイーター、そして今回のビームツイーターを組み合わせることで、立体音響のサウンドクオリティを底上げ。音の定位感や広がりを高め、画面から音が出ているかのような包み込まれるようなサウンドを目指したという。

実用最大出力は70Wで、ミッドレンジ、ツイーター、サブーファー、ビームツイーターがそれぞれ2基の8スピーカー構成。もちろん、Dolby Atmosも対応する。

ビームツイーターは背面上部に搭載する

音声機能としては、ボイスズームが進化。ボイスズームは人の声の成分を取り出して、クリアな聴こえ方になるようコントロールする機能だが、新しい「ボイスズーム3」では、AIサウンドセパレーションが追加。

人間の音声をAIで抽出することで、音声以外の音量は変えずに、声の音量だけを変えることが出来るようになった。調整はクリック設定から呼び出し可能で、+6から-6までの13段階をセレクト可能。これはサウンドバーを接続した場合も動作できるようになっている。

ソニー製のサウンドバーと接続して、ブラビアのスピーカーを“センタースピーカー”として駆動する「アコースティックセンターシンク」もアップデート。

最新サウンドバー(HT-A9M2/HT-A9000/HT-A8000)を組み合わせると、「独自の最適化技術により、テレビとサウンドバーがより精度高く1つのスピーカーとして動作。音響特性のばらつきが改善され、音の定位感と臨場感を一層高めることができる」という。

ゲーム機能はPSリモートプレイに対応。4K/144Hzは非対応

ゲーミング機能としては、専用インタフェース「ゲームメニュー」を搭載。PlayStation 5などのゲーム信号を検知すると、ゲームのステータスや設定などのアシスト機能を集約したメニューが表示できる。

ほかにも、画面を小さくして表示できる「画面サイズ調整」、シューティングゲームで活用できる中心点表示「クロスヘア」、暗部を持ち上げて視認性を高める「ブラックイコライザー」、プレイ画面のちらつきやカクツキを抑える「VRR」などを用意する。

新たに「PSリモートプレイ」機能をサポート。PSリモートプレイアプリ(プリインストール済み)を使って、XR90シリーズのブラビアと高速インターネット環境で接続すると、他の場所からPlayStation本体を遠隔操作できる。

搭載チューナーは、BS4K/110度CS 4K×3、地上/BS/110度CS×3。別売の外付けHDDを接続すれば、2番組の同時録画も可能。放送視聴中の裏番組録画や2番組同時録画が行なえる。

OSは「Google TV」。独自のSONY PICTURES COREほか、NetflixやPrime Video、Hulu、Disney+、TVer、ABEMA、U-NEXT、Apple TV、YouTube、DAZNなどの各種映像配信サービスが楽しめる。Bluetooth式リモコンには「U-NEXT」「Netflix」「Hulu」「Prime Video」「FOD」「Disney+」「ABEMA」「YouTube」の8つのダイレクトボタンを用意する。

無線LANは2.4GHz・5GHzに加えて、新しく6GHzの「IEEE802.11ax」が追加。Googleアシスタント、ハンズフリー音声検索、Chromecast built-in、Apple AirPlay 2ほか、ホームネットワーク機能(DLNAクライアント)も備える。

HDMI入力は4系統で、入力3・4がHDMI 2.1をサポート。4K120p入力や可変リフレッシュレートのVRR、自動低遅延モードのALLMに対応する。eARCは入力3のみ可能。PS5連携機能のオートHDRトーンマッピング、コンテンツ連動画質モードにも対応。4K120p入力時のフル解像度表示も行なえる。なお、「4K144Hz」入力には対応しない。

HDMI以外の端子として、ビデオ入力(4極ミニ)、光デジタル音声出力、センタースピーカー入力、ヘッドフォン出力、USB、LANを備える。

スタンド内側
サウンドバー×スタンド外側
サウンドバー×スタンド内側

スタンド設置は、スタンド外側、スタンド内側、サウンドバー×スタンド外側に加え、「サウンドバー×スタンド内側」の設置スタイルを追加。4種類の方法を提供することで、設置の自由度を増している。

消費電力と年間消費電力、外形寸法、重量は以下の通り。

【消費電力と年間消費電力】
・K-85XR90:512W 234kWh/年
・K-75XR90:456W 212kWh/年
・K-65XR90:350W 208kWh/年

【スタンドを含めた外形寸法(幅×奥行き×高さ)と重量】
・K-85XR90:188.8×45.7×109.7cm/標準・スタンド内側
       188.8×45.7×115.8cm/サウンドバー 55.7kg
・K-75XR90:166.7×39.7×97.2cm/標準・スタンド内側
       166.7×39.7×103.4cm/サウンドバー 45.0kg
・K-65XR90:144.3×34.9×84.6cm/標準・スタンド内側
       144.3×34.9×90.8cm/サウンドバー 34.8kg

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