Pages

Wednesday, December 28, 2022

Samsungが繰り出すPCIe 4.0 SSDの最終形態「990 PRO」 - PC Watch

日本サムスン「990 PRO 1TB」

 日本サムスンから、ハイエンドゲーマーやエンスージアストユーザーをターゲットとするPCIe 4.0/MVNe M.2 SSD新モデル「990 PRO」が登場した。海外では既に発売済みとなっている製品で、国内ではやや遅れて登場した形だが、日本サムスンのPCIe 4.0/MVNe M.2 SSDとして最上位モデルであり、注目度は高い。

 今回、990 PROの1TBモデルを試用する機会を得たので、仕様や性能面を紹介する。12月23日に発売開始となり、価格は1TBモデルが2万3,980円、2TBモデルが4万2,980円。

電力効率を高めた新コントローラ採用でPCIe 4.0の上限に近い速度を発揮

 990 PROは、冒頭でも紹介しているように、日本サムスンのPCIe 4.0/NVMe SSDとして最上位となる最新モデルで、従来モデル「980 PRO」の後継となる。フォームファクタはM.2 Type2280、接続インターフェイスはPCIe 4.0x4、プロトコルはNVMe 2.0。容量は1TB、2TBの2種類。海外では4TBモデルも発表済みだが、国内での4TBモデルの発売は未定。

 従来モデルの980 PROは、シーケンシャルアクセス速度がリード最大7,000MB/s、ライト最大5,000MB/sと、非常に高速な転送速度を実現することで大いに注目された。その後継モデルの990 PROではさらなる性能向上を実現。990 PROの主な仕様は以下の表にまとめたとおりだが、シーケンシャルアクセス速度はリード最大7,450MB/s、ライト最大6,900MB/sに達している。ランダムアクセス速度もリード最大140万IOPS、ライト最大155万IOPSと、980 PROとの比較で最大55%もの性能向上を実現している。

【表1】990 PROの主な仕様容量
1TB 2TB
フォームファクタ M.2 2280
インターフェース PCI Express 4.0 x4
プロトコル NVMe 2.0
NANDフラッシュメモリ TLC 3D NAND「第7世代 V-NAND」
コントローラ Samsung内製コントローラ
DRAMキャッシュ LPDDR4 1GB LPDDR4 2GB
Intelligent TurboWrite 2.0
SLCキャッシュ容量
標準:6GB、Intelligent:108GB
最大:114GB
標準:10GB、Intelligent:216GB
最大:226GB
シーケンシャルリード 7,450MB/s
シーケンシャルライト 6,900MB/s
ランダムリード(QD1,Thread1) 22,000 IOPS
ランダムライト(QD1,Thread1) 80,000IOPS
ランダムリード(QD32,Thread16) 1,200,000IOPS 1,400,000IOPS
ランダムライト(QD32,Thread16) 1,550,000IOPS
総書き込み容量 600TBW 1,200TBW
保証期間 5年

 SSDコントローラは、従来同様にSamsung内製コントローラを採用。980 PROに搭載されていた「Elpis Controller」と比較して電力効率が大幅に向上しており、1W当たりのパフォーマンスが50%向上しているという。なお、コントローラの型番は非公開だ。

 NANDフラッシュメモリには、Samsungの第7世代「V-NAND」を採用。セルあたり3bitのデータを保存できるTLC仕様となる点は従来同様だ。DRAMキャッシュメモリはLPDDR4で、搭載容量は1TBモデルが1GB、2TBモデルが2GB。

 TLC仕様のNANDフラッシュメモリを搭載していることで、書き込み性能を向上させるSamsungオリジナルのSLCキャッシュ技術「Intelligent TurboWrite 2.0」も搭載。SLCキャッシュ容量は標準で1TBモデルは6GB、2TBモデルは10GB確保するが、書き込み容量に応じて容量が自動的に拡張され、1TBモデルでは最大114GB、2TBモデルでは最大226GBとなる。

基板表。フォームファクタはM.2 Type 2280、接続インターフェイスはPCIe 4.0x4、プロトコルはNVMe 2.0
基板裏。こちらにはチップは実装せず、SSDコントローラやNANDフラッシュメモリチップの冷却を促すヒートスプレッダラベルを装着

 高速SSDで不可欠となる熱への対策も申し分ない。SSDコントローラやNANDフラッシュメモリチップの熱を効率良く発散できるよう、SSDコントローラにニッケルコーティングを施すとともに、基板裏面基にヒートスプレッダラベルを装着。同時に、従来モデルにも搭載されている熱監視システム「Dynamic Thermal Guard technology」も組み合わせ、常に最適な温度を維持し、長時間の利用でもパフォーマンス低下を最小限に抑えられるとしている。

 総書き込み容量は、1TBモデルが600TBW、2TBモデルが1,200TBW。保証期間は5年。

 試用した1TBモデルを見ると、基板表にはニッケルコーティングされたSSDコントローラとDRAMキャッシュメモリチップ、NANDフラッシュメモリチップが2チップ搭載されていることを確認。また裏面には銅箔を利用したヒートスプレッダラベルも確認できる。

ラベルの下には、SSDコントローラチップ、DRAMキャッシュチップが確認できる
SSDコントローラチップにはニッケルコーティングを施すことで、熱を効率良く発散できるように工夫されている
NANDフラッシュメモリチップは2チップ搭載。TLC仕様の第7世代V-NANDを採用
裏面のヒートスプレッダラベルには、銅箔の層が見える

Intel環境では公称のアクセス速度に到達せず

 では、ベンチマークテストを利用して速度をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、「CrystaDiskMark 8.0.4」と「ATTO Disk Benchmark V4.01.0f2」、「PCMark 10 Storage Full System Drive Benchmark」、「3DMark Storage Benchmark」の4種類だ。

 テスト環境は以下にまとめたとおりで、テスト時にはSSDにマザーボード付属のヒートシンクを装着し、ヒートシンクに空冷ファンのエアフローが届く状態で計測している。

テスト環境

  • マザーボード:ASRock Z590 Steel Legend WiFi 6E
  • CPU:Core i5-11400
  • メモリ:DDR4-3200 32GB
  • システム用ストレージ:Samsung SSD 950 PRO 256GB
  • OS:Windows 11 Pro 64bit

CrystaDiskMark 8.0.4の結果

データサイズ1GiB
データサイズ64GiB
ATTO Disk Benchmark V4.00.0f2の結果
PCMark10 Storage Full System Drive Benchmarkの結果
3DMark Storage Benchmarkの結果

 まず、CrystalDiskMarkから。こちらは設定を「NVMe SSD」にして計測している。結果を見ると、シーケンシャルアクセス速度は、リードが7,127.82MB/s、ライトが6,761.82MB/sと、いずれも公称に届いていない。

 この傾向はATTO Disk Benchmarkの結果も同様。こちらもリード、ライトとも公称の速度に届いていない。

 また、ランダムアクセス速度についても、QD32/Thread16のライトが公称の速度から大きく下回っている。ただ、QD32/Thread16のリードと、QD1/Thread1のリード、ライトはほぼ公称通りの速度が得られている。

 Samsungによると、公称のアクセス速度は、AMD X570/AMD Ryzen 7 5800Xの組み合わせで計測したものだという。つまり、公称どおりの速度を発揮させるにはAMD環境が必要となり、Intel環境では公称の速度が発揮されない場合がある、と考えられる。

 この点は、Intel環境利用者にとって少々気になる部分ではある。それでも速度的には全く申し分ないものとなっており、ベンチマークテストで公称の速度が引き出せていないとしても、その違いを体感できるほどではないはずだ。そのため、基本的には問題ないと考えていいだろう。

 PCMark10 Storage Full System Drive Benchmarkと3DMark Storage Benchmarkの結果は、十分なスコアが得られてはいるものの、同等クラスのハイエンドSSDの結果と比較するとわずかだが見劣りする印象。おそらく、こちらもIntel環境でスコアが伸びない可能性が高い。とはいえ、この差も体感できるほどではないと思われるので、ハイエンドSSDとして申し分ない性能が発揮できていると言える。

HD Tube Pro 5.75で200GBのデータを連続書き込みした場合の速度変化

 最後に、大容量データを書き込んだときの速度の変化をチェックしてみた。HD Tube Pro 5.75を利用して200GBのデータを連続で書き込んだ場合の速度変化をチェックしたところ、114GB付近で書き込み速度が大きく低下した。容量1TBの990 PROではIntelligent TurboWrite 2.0でのSLCキャッシュ容量が最大114GBということで、公称通りの結果となっている。ただ、速度低下後も1,300MB/sほどと比較的高速な速度が発揮されているため、これならSLCキャッシュが尽きてもまずまず快適に利用できそうだ。

Intel環境との相性は気になるが、定番ハイエンドSSDとして魅力

 今回990 PROを試用して気になったのは、やはりIntel環境でベンチマークテストのスコアが公称の性能に届いていない、という点だ。このあたりは、SSDコントローラや、IntelのPCI Expressまわりの設計やドライバなどとの相性によるものとも考えられる。ただ、競合の製品ではIntel環境でも公称どおりの速度が確認できるものも多く、どうしても残念に感じてしまう。

 ただ、この点を考慮しても、性能としてはハイエンドSSDとして全く見劣りするものではなく、ハイエンドゲーマーやエンスージアストユーザーがIntel環境で利用するとしても、十分に満足できるものと言っていいだろう。もちろん、AMD環境の利用者であれば、990 PROが備える性能を最大限に引き出せる可能性が高いため、より高い魅力のある製品と言える。

 Samsung製SSDは、ハイエンドユーザーを中心に定番SSDとして根強い人気がある。そして990 PROについても、ハイエンドユーザーにとって十分な魅力を備える製品に仕上がっており、定番ハイエンドSSDとしてお勧めしたい。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( Samsungが繰り出すPCIe 4.0 SSDの最終形態「990 PRO」 - PC Watch )
https://ift.tt/tQz0YMF

No comments:

Post a Comment