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Wednesday, September 14, 2022

小さくてジンバル内蔵「Insta360 Link」が凄い。異様に万能な“Webカメラ” - Impress Watch

Webカメラ「Insta360 Link」

Insta360と言えば、スポーツなどのアクティビティを撮影するアクションカメラや、全方位を撮影する360度カメラなどで知られるメーカーだ。そこに最近新たに加わったのが、「Insta360 Link」というWebカメラ。これまではどちらかというとアウトドア指向な製品をラインアップしてきたところに、完全インドアなWebカメラ市場へ殴り込みをかけてきた格好だ。

無数の製品が存在し、市場としてはもう飽和状態になっているような雰囲気もあるだけに、「今さらWebカメラか」という声も聞こえてきそうではある。ところがどっこい、この「Insta360 Link」、さすが注目度の高い製品の数々を世に送り出してきたメーカーだけに、他のWebカメラとはひと味もふた味も違う中身になっている。価格は45,800円と、Webカメラとしてはちょっと……いや、かなりお高めだが、試してみた。

ジンバル内蔵で傾きを自動調整

「Insta360 Link」は、パソコンと組み合わせて使うマイク内蔵のWebカメラ。バッテリーは搭載されておらず、USBケーブルでパソコンと接続することで給電し、動作する。パソコンのモニターの上に載せたり、デスク上にそのまま置いたり、本体底面に用意されているねじ穴(1/4サイズ)を使ってカメラ用三脚などに取り付けたりして使える。

手のひらに載せた写真を見るとわかるように、本体はけっこうなミニサイズだ。全体の高さこそ7cm近くあるが、土台となる部分にちょこんと生えているカメラレンズ部の「首」から上がスリムなこともあって、数字以上にコンパクトな印象を受ける。重量は実測105gと、このサイズにしては高い密度感のある重さだが、ノートパソコンのディスプレイに掛けて使っても問題ない。見た目は、ドローンで有名なDJIのスティック型ジンバル内蔵カメラ「DJI Pocket 2」の首部分にそっくりである。

そんな「Insta360 Link」の一番の特徴は、なんといってもジンバル内蔵であること。ジンバルというのは、自動で傾きを検知して水平を保つことで、本体が揺れたりしても安定した撮影ができる機構のことだ。レンズ部が上下左右方向への首振りと、奥行き方向を軸とした回転に対応しており、設置した場所の傾きなどに応じて適切な角度に自動調整してくれる仕組みを備えている。

たとえば、Webカメラをパソコンモニターの上に設置したとき、モニターやカメラが微妙に傾いていたとしても、勝手に水平を保つようレンズ部を自動調整する。これにより被写体、つまりはユーザーの姿を常にまっすぐ正しい角度で捉えることができるわけだ。

ジンバル内蔵で、本体を横向きにしてもレンズ部は水平を保つ

傾いていたら手で直せばいいんだから、普通のWebカメラで問題ないのでは、と思うかもしれない。たしかにそうだ。だいたいは置きっぱなしになるWebカメラだし、最初にしっかり固定しておけばいいだけの話でもある。ただ、(Webカメラを載せた)モニターの角度を微調整するのはままあることで、その都度カメラ位置を調整するのはやっぱり手間。

しかも、「Insta360 Link」でできることはそれだけに止まらない。他にもさまざまな機能が盛り込まれている。

手を伸ばさなくてもカメラの向き変え、ズームイン・アウトが自在

「Insta360 Link」はパソコンに接続すればすぐにWebカメラとして認識されるが、基本的にはWindows/macOS対応の専用ソフト「Insta360 Link Controller」とセットで使うのが前提となる製品だ。同ソフトを使うと映像の画質調整、カメラの向きやズームイン・アウトの制御、後述する動作モードの切り替えなどが可能になる。

専用ソフト「Insta360 Link Controller」はWindowsとmacOSに対応

明るさやホワイトバランス、彩度、シャープネスといった画質調整については他のWebカメラ(もしくはOS自体)にもある機能なので珍しくはないが、カメラの向き変えは首振り可能な「Insta360 Link」ならではだ。ソフト上の上下左右ボタンをクリックするか、映像をドラッグすることで、カメラ(レンズ)の向きを好きなように変えられる。

露出、ホワイトバランス、彩度、シャープネスなどの画質調整が可能
ボタン操作や画面ドラッグでカメラ向きの変更、ズームが可能。後述する「プリセットポジション」は6パターンまで記憶しておける

従来のWebカメラだと、この「自由度の高い向き変え」が意外と難しかったりするもの。通常はカメラを物理的に動かすしかないし、モニター上に引っ掛けて固定するWebカメラだと、ほとんどモニターごと向き変えする必要があるので、ベストポジションにするのが難しい。製品によってはソフトウェア的に映像の一部を切り取る「クロップ」の形で仮想的にフレーミングできたりもするが、画質は落ちる。

ところが「Insta360 Link」の場合は、実際に首振りして被写体を中心に捉えることができ、ジンバル機能により水平も維持するので、被写体(自分)の位置に応じて設置場所を細かく調整しなくてもいい。言い換えると、カメラの置き場所が自由になる。正面に置く必要はないし、会議室でオンラインプレゼンするようなときでも、立ち位置に合わせて設置場所をあらかじめ決めておくような必要もない。しかも映像をクロップすることもないので常に高画質が保たれるメリットもある。

さらにデジタルながら最大4倍のズームイン機能ももつ。カメラの設置場所から少し離れたところにいる場合でも、室内全体を映すことなく、被写体周辺のみ相手に見せることが可能だ。フルHD(1,920×1,080ドット、30/60fps)はもちろん、最大4K(3,840×2,160ドット、30fps)解像度にも対応することから、画質は折り紙付き。デジタルズームでも毛穴までくっきり見えるようなクオリティで映し出してくれる(多くのWeb会議ツール上では解像度はそれより落ち、映像が圧縮されるので画質も劣化してしまうが)。

ズームしていない最も引きにした状態
4倍デジタルズーム

ちなみにカメラ向きやズームレベルは、「プリセットポジション」として最大6パターンまで記憶しておける。デスク上でWeb会議する分にはあまり活躍の機会はなさそうだが、会議室で参加メンバー全員が見えるようにフレーミングしたいとき、発言者1人にフォーカスしたいとき、テーブルに置いた物を見せたいときなど、想定されるシーンに合ったポジションを記憶させておくと良さそう。

そうすれば、ボタンクリック一発でそのポジションを呼び出して、瞬時にカメラ向きとズームレベルを変更できる。ライブ配信で視点を随時変えたいような場面でも活躍してくれるだろう。

万能感あふれるWebカメラ

高機能かつ使いやすいInsta360 Linkだが、1点使い勝手の面で惜しいと感じる部分もあった。Webカメラを使用していない状態だと10秒でプライバシーモードに入り(レンズ部が完全に下向きになる)、再びWebカメラを使用する(Web会議アプリを使い始める)ときには素早くオンになって復帰するのだが、プライバシーモードに入る前までに有効にしていたポジションや動作モードがリセットされた状態になるのだ。

なので、Web会議に「トラッキングモード」有効で臨みたいときは、Web会議アプリを立ち上げてカメラがオンになった後、ジェスチャーで有効にするか、専用ソフトを立ち上げてボタンクリックでモードを切り替えるしかない。

できればジェスチャーでサクッと有効にしたいけれど、Web会議が始まった後にジェスチャー操作すると相手に不審に思われかねないので、専用ソフトで操作することになるのでやや手間だ。このあたりはいずれアップデートで改善されることを期待したい。

細かい要望はあるものの、Web会議はもちろん、会議室でのプレゼンから動画配信まで、多くの用途に高品質な映像で対応できる万能感あふれるWebカメラが「Insta360 Link」と言える。

首振り機能をもつWebカメラは、何も「Insta360 Link」の専売特許というわけではなく、ビジネス向けオンライン会議システム用のWebカメラにも同様の機能を備えているものがある。が、それらの多くは巨大でお手軽とは言えないし、顔認識で自動追尾する機能を備えているものはまずない(代わりに光学ズーム機能を備えていたり、声の方向を追尾したりするものはある)。その意味でもカワイイ小型サイズに賢いAI機能を詰め込んだ「Insta360 Link」のアドバンテージは計り知れない。

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