11月の米中間選挙で再選を狙う南部フロリダ州のデサンティス知事(43)が注目を集めている。同じ共和党のトランプ前大統領(76)顔負けの「分断政治」で民主党を徹底攻撃する姿が「ミニ・トランプ」と呼ばれ、台頭。24年大統領選の党候補としてトランプ氏とともに有力視されてきた。

「川の対岸へ、突き飛ばしてしまえ」。8月下旬、デサンティス氏が演説で、ファウチ国立アレルギー感染症研究所長を罵倒すると、大歓声が上がった。コロナ対策を主導し保守層から敵視されるファウチ氏に、暴力的な言葉を浴びせたデサンティス氏だが、悪びれる様子はなかった。

同じ時期には、続編も大ヒットした映画「トップガン(TOP GUN)」をまねた「TOP GOV」というタイトルロゴの選挙キャンペーン動画を公開して話題になった。GOVはGovernor(知事)の略で「最高の知事」といった意味。デサンティス氏は、映画の主演トム・クルーズと同じようなフライトジャケットを着て動画に登場し、企業メディアとの戦い方について語った。

下院議員を経て、19年に州知事に就任。差別的との批判もいとわず、リベラル寄りの政策を非難し、民主党との対決をあおる手法が真骨頂だ。今年3月、性的指向や性自認の話題を小学校の授業で取り上げるのを規制する州法を成立させた。性的少数者への差別を助長するとして批判が噴出、フロリダ州が拠点のウォルト・ディズニー社も反対したが、逆に同社への優遇税制を含む特区制度を廃止して報復した。

中間選挙で実施されるフロリダ州知事選では、対立候補をリード。24年大統領選で民主党のバイデン大統領と戦う場合、トランプ氏より有力な共和党候補になるとの世論調査結果も出ている。ただトランプ氏が再出馬に意欲を示す中、対抗姿勢を示せば岩盤支持層の怒りを買う。同氏との距離を見極めながら、存在感を高めていくとみられる。