2022年7月28日にセガトイズより発売されるミニハード『アストロシティミニ V』。2020年に発売された『アストロシティミニ』の流れを汲む後継バージョンで、一世を風靡したアーケード汎用筐体“アストロシティ”をミニサイズにし、本体または外部出力で、数多のゲームが楽しめる。
『アストロシティミニ』はセガのゲームをメインに、バラエティ豊かなアーケードゲームが試したハードだった。今回の『アストロシティミニ V』は、シューティングゲームに特化した思い切りのいい仕様になっている。また、開発協力にはゲーセン ミカドの経営者兼店長・池田稔氏も参加しているのも特徴だ。
本記事では『アストロシティミニ V』の発売前の製品版をお借りして、実際に触ってみた感想をお届けしよう。
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※カッコ内は現在のメーカー名です。
追加機能面が細かく便利!
まず機能面についてだが、基本的には『アストロシティミニ』とほとんど変わらない。本体モニターかHDMIケーブルに接続しての外部出力でのプレイ、最大2スロットのステートセーブ機能など、基本的な部分はほぼいっしょだ。このあたりの仕様は『アストロシティミニ』レビューで詳しく触れているので、そちらを参照してほしい。
『アストロシティミニ V』は『アストロシティミニ』よりも本体モニターが少し大きくなり(4.6インチ)、さらに縦型モニターになった。縦画面になったおかげで各シューティングゲームが“小さすぎて見えない”ことはなく、本体モニターでも比較的遊びやすい。が、一部弾の小さいタイトルについては、やはり見難い印象。まあそこはガチでゲームを攻略しにいくというよりは、ミニサイズの雰囲気を楽しもう、という感じだ。
縦画面機能
ガチで攻略しにいくのならば、やはり外部モニターへの画面出力が必須級かと思われる。『アストロシティミニ V』はそのままだと横画面に出力(両サイドが黒塗り)。オプションの画面回転機能を使い、加えてモニターを縦置きすれば、より大画面でゲームを楽しめる。
外部出力の遅延は、まあそりゃあ仕方なく発生するもの。超やり込んでいる人ならばおそらく感じるのだとは思うが、筆者としてはとくにまったく気にならない程度。とはいえやはり、実際のアーケード筐体で遊んでいるときの感覚とはほんの少し違うかな~というくらいにはなんとな~くある。
池田稔氏による解説付き!
各ゲームのボタン配置などを確認できる紹介画面では、池田氏による解説文を読むことができる。基本はマジメな解説なのだが、やはり一部は池田氏らしいというか、ぶっちゃけ話やつい笑ってしまうような解説も多く、全部読むだけでも楽しめる要素だった。また、ちょっとしたプチ攻略情報も教えてくれるので、ゲームを遊ぶ前に必読!
ミカドボタンの配置に!
ボタン配置カスタマイズには前回同様に対応していないものの、収録された各ゲームがゲームセンター・ミカドで稼動していた際、プレイヤーから好評を得ていたボタン配置となっているのが今回の特徴のひとつ(当然、ゲームごとに異なる)。
さらには連射ボタンも一部ゲームに用意されており、ゲームに合わせて“30連ショット”、“15連ショット”などといった、ちょうどいい連射速度が設定されているのがポイント。ゲームによっては複数の連射ボタンがあり、戦局に合わせて連射速度を変えることも可能だ。
かんたんセーブが便利!
ガチンコで挑戦したい人は使わないと思うが、カジュアルに遊びたい、または練習などに使用したい人には“かんたんセーブ”機能がかなり便利だ。6ボタン目はほぼすべてのゲームで“かんたんセーブ”ボタンになっている。これはポーズメニューで使用できるステートセーブ機能とは独立しているもので、ボタンをチョン押しすると、その場でステートセーブをしてくれる。ロードはボタン長押しだ。
危なそうなところで事前にボタンをパッと押すだけでセーブできるので、やり直しが効きやすいのが何ともうれしいところ。まあクレジットは無限にあるのだから「コンティニューでいいじゃん」という気もするが、撃墜されるとステージ進行を戻されるゲームでは、戻される心配もない。そこはプレイヤーの好きなように使うといいだろう。
なお、かんたんセーブはステートセーブのスロットは使用しない。また、電源を落としても直前のかんたんセーブデータをロードできるほか、ほかのゲームを遊んでも保存されている。つまり、かんたんセーブ専用のスロットなので、第3のステートセーブスロットとも言える。
ただし、『アームドポリス バトライダー』のみ6ボタン配置ゆえに、残念ながら使用できない。ステートセーブで我慢しよう。
ディップスイッチ変更可能
ディップスイッチ(要はゲームの基板設定)も変更できるようになった。一般的なゲームで言うところのオプション変更で、ゲームの難易度や“エクステンド(1UP)までの点数”などが変更できる。『アストロシティミニ』では残念ながら含まれていなかった機能なだけに、地味ながらにありがたい仕様。
デモループ機能をインテリアに!
メインメニュー画面でCボタンを押すと、そのとき押したゲームから年代順にデモ画面が順番に流れ、ループするようになっている。『アストロシティミニ』では選んだゲームのデモ画面は電源が落ちることなく流れるようになっていたが、さらに複数のゲームを自動で流してくれるようになったのだ。
これにより、よりゲーセン感の強いインテリアとして飾る使いかたもできるだろう。……本体1個だけだと筆者の体感的には、某M〇Sの複数スロット筐体のデモ画面を思い出したが(笑)。
懐かしさとアツさが同居する22タイトル
ここからは、22個の収録タイトルの中から筆者が個人的に気になったものを紹介。アツいです。
『レッスルウォー』
1989年にリリースされたセガのアクションゲーム。『アストロシティミニ V』唯一の非シューティングゲームだ。メガドライブで発売されたことはあるが、アーケード版は初移植。プレイヤーはプロレスラーのブルース・ブレイドを操作し、2団体のベルトを獲得するべく、8人のレスラーたちと戦っていく。
縦画面ならではの演出や大きなキャラクターが見どころ。多彩な技もダイナミックかつ迫力満点だ。アクションは連打が主役となっており、指がブチ壊れるのではというくらい連打を要求される。パンチ連打ボタンが用意されているので、惜しみなく使うべし。
『アウトゾーン』
1990年稼動の東亜プラン作品で、今回が初移植。宇宙仕事人のサイボーグ戦士となり、地球侵略を企むオワギラ星人を撃ち滅ぼす任意スクロール型シューティング。エネルギーという名の時間制限があり、エネルギーが切れると1機消滅。エネルギーアイテムをひたすら拾い集めながら進まないといけない。常時エネルギー供給が必要なのかと、サイボーグ設計者の神経を疑う仕様。
そのためけっこう急いで前進しなくてはいけないので、なかなかに忙しい。東亜プランらしく敵弾は早いが比較的避けやすく、先制攻撃で制圧しやすく難度は低め。ボムが大量に拾えることもあり、けっこうなゴリ押しで進められる。武器のスーパーボールがあるだけでゲームが超楽になるというか、ほかの武器が要らなくなる!
『達人王』
1992年稼動の東亜プラン作品で、これはアーケード版を初めて忠実に移植したもの。縦スクロールシューティング『TATSUJIN』の続編で、お前は本当にクリアーさせる気があるのかというほど難度が高く、かつステージが長い。煮詰まりすぎた東亜プランの集大成とも言える作品だ。
システム自体はシンプルなのだが、敵は硬くプレイヤーを完全に殺しに来る敵配置が多く、マジで難しい。それゆえにカリスマ的な人気を誇っており、かつてファミ通本誌で行った“ゲームジャンル別総選挙”では、名だたる名作に並び、8位を獲得するほどのディープな人気を持つ。セーブ機能を駆使して練習しよう!
『デザートブレイカー』
1992年稼動のセガ作品。今回が初移植となる任意スクロール型シューティングだ。そもそも稼動している店舗がかなり少なかったようで、かなりのレアタイトルとなっている。ちなみに筆者、初プレイ。
360度撃てるショットに多彩なアイテムや近接攻撃、搭乗可能なロボットなど、この手のシューティングゲームではなかなかにアクションが多彩で、さらに発動中無敵の“ダッシュ”はかなりユニーク。これでダメージ地帯を切り抜ける場面もある。
ショット連射機能を備えたボタンはわかるが、“ダッシュ連打機能用のボタン”があり「どういうこと!?」と思ったが、使ってみて、なるほど。ほぼほぼ無敵状態のまま走り回れるのはおもしろい(笑)。光るところもあるのだが、アーケードゲームだとしてもボリュームが小さく、何となく稼動が少なかった理由もわかるような……。
『アームドポリス バトライダー』
1998年稼動のライジングによる縦スクロールシューティングで、初移植。『バトルガレッガ』の精神的続編で、ランクを絡めたゲーム性を踏襲(同じく初移植の『バトルバクレイド アンリミテッドバージョン』にも引き継がれている)。特徴的なのが3機で挑むチーム制システムで、チームは固定かエディットが可能。ミスするたびにほかの機体に交代となる。
『魔法大作戦』シリーズと『バトルガレッガ』の機体が隠しコマンドで使用でき、それまでのライジング作品の集大成のような一本。クリアーするだけならアイテムなどを取得せずに立ち回れば比較的容易だが、スコアを稼ぐとなるとやはり難度は高め。
隠しコマンドはクレジット投入後のスタートを押す前に入力。レバーを上上、下下、左右、左右、Aボタン(ショット)、Bボタン(ボンバー)を押すと効果音が鳴るので、その後にスタートを押せば追加機体を選択可能だ。一度入力してコース選択画面でセーブしておけば、その後は入力不要となる。
本来の本作は3ボタンで遊ぶゲーム。コマンド入力で“ショット速度変更”などが可能となるのだが、ミカドのボタン配置ではショートカットボタンが用意されていて、とてもありがたい。これを踏襲するのは、もちろんいいと思う。ただ、“かんたんセーブ”機能がつぶれてしまうくらいなら、“得点ヒストリー表示”ショートカットはナシの方向で変更してもよかったのではないだろうか。ちなみに、BGMは新曲となっている。
完全にシューター向けミニハード!
さて、ミニハードはこれまでもいくつか発売されており、アーケード筐体ライクなものも少なくない。『アストロシティミニ』は王道的なミニハード路線だったにも関わらず、『アストロシティミニ V』でシューティングゲーム特化という舵切りはなかなかに興味深いところ。
収録タイトルは37本から22本と、タイトル数だけで見ればパワーダウンしているかのようにも見えるが、決してそうではない。たとえば、セガ以外のタイトルがほとんどを占めており、それだけ権利関係の契約やらコストも掛かっていると推測できる。何より、いちシューティングゲームファンとしても、あらゆる会社が入り混じるこのラインアップはかなり異常だ。
もちろん「アレがないじゃん!」などという声は聞こえてきそうだが、前回インタビューした際に「アレがないじゃんは、すでに絶対1度動いている」とお聞きしたので、まあ実現できなかったのだろう。
そもそも、『アストロシティミニ V』自体が一般的なミニハードかと言うと決してそうではなく、かなりシューティングマニアに特化しているとは思う。「シューティング初心者にもオススメですよ!」と気軽に言ってみたいが、値段も19580円[税込]と、ほかのミニハードと比べてやや高値。
ふだんシューティングを遊んでいない人でも気軽に遊べる、ワンコインクリアーを目指せるタイトルは、『戦国エース』や『ガンバード』、『ストライカーズ1945』などだろうか? むう、気軽におすすめしたいところだが……。とはいえ、インタビューで聞いた限りでも、かなり挑戦的なミニハードではあるので、これからどうなるのか見守りたいところだ。シューティングファンはとりあえず、買いますよね? 買いますよね?(同調圧力)。
アストロシティミニ Vの購入はこちら (Amazon.co.jp)からの記事と詳細 ( 『アストロシティミニ V』レビュー。シューターホイホイ激熱タイトル満載! 連射などのこだわりボタン配置とかんたんセーブが超便利! デモループ機能もアツい!! - ファミ通.com )
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