松永佳伸
岐阜県羽島市の石原農園が、規格外のミニトマトなどを使ったケーキの製造、販売に乗りだし、6次産業化・地産地消法に基づく国の「総合化事業計画」に認定された。石原一郎代表(63)の長男、宏紀さん(31)は「食品ロスを減らしながら、羽島の新たな特産品をつくって盛り上げていきたい」と意気込む。
農園は、一郎さんが勤めていたソニーを退社し、1989年に設けた。三重大農学部で学んだ知識や経験を生かし、当時、全国的にも珍しかった環境制御技術を採り入れたミニトマトの施設栽培に挑戦。現在はハウスでトマト45アール、露地でサツマイモ40アール、タマネギ50アールを栽培し、JAや市場を通さずにほぼ全量を産直市場などで販売している。
長男の宏紀さんは医薬品販売の営業担当をしていたが、2年前、「農業はもっとおもしろそう」と農家に転身。一郎さんを支える中で、ミニトマトの収穫量の5%ほどが皮が破れるなどして廃棄せざるを得ない状況に心を痛めていた。「規格外や裂果したトマトを有効活用し、収益率の向上やフードロスの改善ができないか」と考えたのが、ケーキだった。
お菓子づくりが趣味の妻の愛里香さん(26)と一緒に試作を重ねた。トマトは生のままケーキに入れると水っぽくなり、酸味が強くなる。そこで、愛里香さんはミニトマトを湯むきし、シロップに漬けた後、ドライトマトにしてパウンドケーキに入れることにした。
県食品科学研究所や地元のカフェ「ビー珈琲(コーヒー)」も協力。愛里香さんは「ケーキに野菜を使ったのは初めてだったが、ドライトマトにすることで甘さと酸味のバランスがよくなり、おいしく仕上がりました」と胸を張る。当面は産直市場で1個180円(税込み)で販売する。
市内にケーキを製造する工場を建設中で、10月ごろから本格的なケーキづくりを始めた。サツマイモを使ったケーキも製造し、野菜ケーキをシリーズ化する計画だ。こうした取り組み「農家が作った野菜のおやつ『野菜ケーキシリーズ』」が2月に国の認定を受けた。今後は国の支援を受けながら、2025年末までに「とまとケーキ」や「さつまいもケーキ」の製造と販路拡大をめざす。(松永佳伸)
からの記事と詳細 ( 規格外ミニトマトでケーキ 食品ロス減へ羽島の石原農園 - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/KxmJY24
No comments:
Post a Comment