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Thursday, April 21, 2022

下町都電ミニ資料館 子供喜ぶ工夫随所に - 読売新聞オンライン

 改修工事で休園中だった荒川区営の遊園地「あらかわ遊園」(荒川区西尾久)が3年半ぶりに営業を再開した21日、園内の人気施設の一つで、ジオラマで鉄道模型を走らせることができる「下町都電ミニ資料館」もリニューアルオープンした。4年前に亡父から運営を託された館長の伊藤朋行さん(59)は、「子どもたちが『また遊びに来たい』と思ってくれる場所にしたい」と気持ちを新たにする。

 高層ビル群や木造住宅が並ぶ下町を新幹線や山手線、成田エクスプレスが駆け抜ける――。館内にある幅約5メートル、奥行き約3メートルのジオラマには、架空のターミナル駅「あらかわ遊園」を中心にそんな光景が広がる。

 同資料館は2011年に開館。伊藤さんの父親、信男さんは空き家を借りて、鉄道模型を走らせる施設を開設したほどの鉄道好きで、区の誘いを受け、同資料館の館長に就いた。鉄道ファン仲間でつくる「のぞみ会」のメンバーとともに、ボランティアでジオラマを制作したり、来館した子どもたちに鉄道模型の運転の仕方を教えたりした。

 1日に200人以上が来館する人気スポットになったが、信男さんは17年末に体調を崩して入院。伊藤さんに「後は頼む」と資料館の運営を託し、翌18年1月に亡くなった。

 住宅塗装会社の経営で多忙だった伊藤さんは、引き継ぐことをためらった。だがのぞみ会のメンバーらと話し合ううちに、「資料館をなくすのは一瞬だけど、子どもたちとのつながりは一生だから」と考え直した。

 その年の12月、同園が改修工事で一時休園すると、資料館も休館に。ジオラマを全て壊し、メンバーらと約2年をかけて一から作り直した。「どうやったら子どもたちにもっと喜んでもらえるか」と考えながら、山から現れた猿が駅舎の屋根に登ったり、アニメの人気キャラクターを街中に紛れ込ませたりするなど遊び心も取り入れた。

 あらかわ遊園は、伊藤さんが幼い頃、信男さんや友人らとともに池でザリガニを釣ったり、ローラースケートをしたりした思い出の場所。「今度は自分が子どもたちを楽しませてあげたい」。伊藤さんはそう願っている。

 再開初日のあらかわ遊園には、事前予約した約770人が入園し、観覧車やメリーゴーラウンドなど一新されたアトラクションを楽しんだ。

 入り口前には午前9時の開園前から行列ができた。北区の会社員 加来かく 大輔さん(40)に連れられた次男の汰成ちゃん(5)は初めての来園。「観覧車が楽しみ」と待ちきれない様子だった。

 テープカット後、職員らに拍手で迎えられた来園者はそれぞれお目当てのアトラクションのもとへ。イルカやパンダが加わったメリーゴーラウンドに母親の吉井桃花さん(24)と一緒に乗った修也ちゃん(3)は「イルカが大好き。くるくる回って楽しかった」と声を弾ませた。

 最高到達点が40メートルに大型化した観覧車に一番乗りしたのは遊園から徒歩3分の場所に住む男性(83)。遊園は“童心に帰れる場所”で、休園前は月に1回通った。改修工事中は散歩がてらに様子を見守って再オープンを心待ちにしていたといい、「眺めが一段と良くなった」と満足そうだった。

 足立区の宗像静江さん(55)は、車いすの母たき子さん(81)と観覧車に乗った。遊園は幼い頃、家族で何度も訪れた思い出深い場所。たき子さんが「また来たい」と希望し、予約を取った。観覧車の乗り場は改修で階段がスロープになり、宗像さんは「車いすのまま乗れるのはありがたいですね」と喜んでいた。

 同園は新型コロナウイルス対策による入園者数制限のため、6月末まで同園のホームページか電話(03・3893・6530)で事前予約が必要(5月9日以降の平日は予約不要)。

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