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Thursday, December 9, 2021

「ミニ四駆」いま4度目のブーム、かつて熱中した親世代が「子供と一緒に楽しめる」 - 読売新聞オンライン

 40年にわたって子供たちの心をつかんできた四輪駆動車の模型「ミニ四駆」が、4度目のブームを迎えている。新型コロナウイルスの感染拡大で「おうち時間」が増え、かつて熱中した世代が親子で楽しむようになっているのだ。ミニ四駆が題材の漫画連載やデジタル技術を活用した専用コースも登場し、新たなファン層も広がっている。「令和のミニ四駆ブーム」に迫った。(読売新聞オンライン 加藤雅浩、長野浩一)

 11月の週末、ミニ四駆を製造・販売する模型メーカー「タミヤ」(静岡市)のオフィシャルショップ「タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店」(東京都港区)を訪れた。専用のコースで愛車を走らせる親子連れや、20~50歳代のミニ四駆ファンたちの熱気がすごい。急勾配を猛スピードで駆け上がり、コースアウトするマシンにマスク越しの歓声が上がる。

 妻と長男(5)の3人で遊びに来ていた都内の自営業男性(46)は「家でできる趣味を探していて思い出したのがミニ四駆だった。子供と一緒に楽しめるのも良い」と話す。子供の頃は夢中になって遊んでいたという都内の会社員男性(33)は、大学時代の同級生と初めて訪れた。同店で買ったマシンをその場で組み立てて走らせてみたといい、「(ほかの利用客と比べて)スピードが遅く、悔しい思いをした。今度は改造してリベンジしたい」と話した。

 「タミヤ」によると、ミニ四駆は1982年の発売以降、これまでに1億8500万台以上を売り上げた。現在の価格は1台1000円前後。タイヤやモーターなど約200種類ある部品を取り付けたり、交換したりして「世界に一つだけ」のオリジナルのマシンに改造できる。

 ミニ四駆ブームは、これまでに3度起きている。第1次は小学館の漫画雑誌「月刊コロコロコミック」でミニ四駆を題材にした漫画「ダッシュ! (よん)()(ろう) 」がブームを起こした1989年前後、第2次は、同じく漫画「 (ばく)(そう) 兄弟レッツ&ゴー!!」が連載された96年前後。2012年には、ミニ四駆の発売30周年を記念し、特設コースでの速さを競う「ジャパンカップ」が13年ぶりに復活し、3度目のブームに火がついた。この時は、第1次ブームの頃に熱中したファンが親世代となり、親子で楽しむ姿が見られたという。

 今回の第4次ブームは、コロナ禍で自宅での「おうち時間」が増えたのがきっかけだ。第2次ブームではまった子供らも親世代になって、家で親子が一緒に楽しめるミニ四駆の人気が昨夏頃からじわじわと再燃した。

 今夏にコロコロコミックで漫画「MINI4KING(ミニヨンキング)」の連載が始まり、作中のマシンが「レーザーミニ四駆」として発売されたことが、小学生を中心とした新たなファン層開拓にもつながっている。

 売り場に100車種以上のミニ四駆や改造パーツを取りそろえる同店の半谷孝道ストアマネージャーは「ブームを通じて子どもたちがミニ四駆を組み立て、マシンの構造に親しむことで、ものづくりについて学ぶ機会にもなっている。ブームの再燃をきっかけに、ミニ四駆の漫画が掲載されたコロコロコミックを手に来店した親子連れが、欲しいマシンを探す姿も見られるようになった」と話す。

 タミヤは、モーターや電池の搭載場所が異なる車体を多数そろえ、新しいデザインのボディーや新機能の改造パーツを次々と発売するなど、ファンを飽きさせない工夫を続けている。一方で、マシンを走らせる専用コースにも、新時代を感じさせる変化が起こった。

 川崎市の商業施設「グランツリー武蔵小杉」に11月17日、デジタル技術を活用したミニ四駆の専用コース「MINI 4WD LASER CIRCUIT(ミニヨンダブリューディー・レーザーサーキット)」がオープンした。特殊なシールをマシンに貼り付けて走らせると、天井に設置したセンサーが反応し、ミニ四駆が走った跡(軌跡)が、プロジェクションマッピングの技術で光の筋となって現れる。都内のIT企業「プレースホルダ」が開発した新技術で、軌跡の色は赤や紫など5色ある。1周の走行タイムやベストタイムのランキングなどがスクリーンに表示されるのも特徴だ。

 同社の鈴木匠太CCOは「デジタル技術を駆使し、漫画で描かれる『レーザーミニ四駆』の世界を体感できるようにした。ランキング上位に自分のマシンが表示されるよう、友達や仲間と競い合って、自己ベストタイムの更新を目指してほしい」と話している。ブームはまだまだ続きそうだ。

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