深紅に染まり、連なった丸い実はまるで赤いルビーのよう。JA西三河ミニトマト共選組合のブランド「赤美味(うま)」。完熟した濃い味わいと新鮮さが売りで、生産者の天野正巳さん(51)=西尾市吉良町=は「トマト嫌いの子どもたちも、喜んで味わってくれます」と手応えを口にする。
一般的なミニトマトより甘く、深いコクが特徴。房付きでパック詰めされ、売り出されているため、外出自粛が余儀なくされた新型コロナウイルス禍でも気軽に収穫気分が味わえ、食育教育にも活用できると人気だ。
深いコクを生み出す源は、西尾市吉良地区の塩分とミネラルが豊富な土壌。かつては塩づくりが盛んで、苦味が少なく良質な「饗庭(あいば)塩」で名をはせた地。「土を生かした土耕栽培で、おいしいミニトマトを作っています」と天野さんは明かす。
丸い実にたっぷり栄養が注ぎ込まれるよう、余分な実を間引く摘果も重要な仕事の一つ。一般的なミニトマトは十アール当たりの収量が年間十〜十五トンだが、赤美味はおよそ三分の一の年間四〜五トンに抑えた。
収穫方法にも違いが。一般的なミニトマトは実を一つ一つもぎ取って収穫するが、赤美味は房全体を赤く完熟させてから、房ごと収穫するため、うまみが凝縮。天野さんは「早すぎると糖度が低いし、待ちすぎると実が割れてしまう。その見極めが何年たっても難しい」と労苦を明かす。
収穫を控えた西尾市吉良町の鈴木徹さん(46)のガラス温室では、まんべんなく日の光を浴びられるように、ミニトマトの茎をひもで固定。受粉用にハチが飛び交い、地面に敷いた白色のビニールとつやつやとした赤い実の対比が印象的だった。
年間約九十トンを生産する部会をまとめる同組合の糟谷盛(しげる)代表(43)は「糖度が高く、フルーツのような強い甘みが特徴。果皮が柔らかく、甘みが増す五月ごろがシーズンです」とPRした。 (角野峻也)
赤美味 西尾市のJA西三河ミニトマト共選組合が10月末から翌年7月上旬に出荷するミニトマト。ブランド名は、赤穂浪士の討ち入りで命を落としたものの、地元では名君と慕われる吉良上野介義央(こうずけのすけよしひさ)公が乗った「赤馬」にちなむ。JA西三河は規格外の実を活用し、ジュースやジャムも販売している。
関連キーワード
おすすめ情報
からの記事と詳細 ( <みかわのブランド食材> (19)ミニトマト「赤美味」(西尾市) - 中日新聞 )
https://ift.tt/3p8ry87
No comments:
Post a Comment