私たちのお尻についている「肛門」、見られてはいけないそれには、恥ずかしい印象がある。それゆえに専門の研究者も少なく、まだ明らかになっていない点も多い。しかしそれは、実は生物の進化上において欠かすことのできなかった重要な器官で、信じられないほど多機能な肛門を持つ生物もいるという。 【画像】多様な肛門を持つ生物たち
「出す」だけじゃない、ナマコの穴
ナマコを覗くときには、顔を見てはいけない。ナマコには顔がないのだ。代わりに、その体の向きをそっと変え、多機能で不思議な肛門を覗いてみよう。 ナマコにある穴は、消化された物の出口というだけではない。それは藻類を食べるための仮の口でもあり、擬似的な肺でもあり、自身を守る武器にもなる。穴から粘着性のある糸状の内臓の網を出して捕食者を巻き込めるのだ。さらに、呼吸でお尻が膨んだ際には、それはパールフィッシュの住処にもなる。 つまり、ナマコは、たまたま体がその周りについているだけの特別な肛門と表現しても不正確ではない。ノースカロライナ大学アッシュビル校の生物学者で、クラゲの専門家であるレベッカ・ヘルムは、「本当に素晴らしいお尻です」と表現した。 しかし、ナマコの肛門は正当な評価を受けていない。「肛門」と言った瞬間に、沈黙が走るだろう。タブーとして扱われるがゆえ、文化的にも科学的にも「肛門」は低い地位にある。
いまだ謎だらけ
肛門を熱心に研究する研究者は世界にもそれほど多くない。しかし、彼らが言うには、生物学の基礎的な側面を理解する上で、肛門研究の不足がちょっとした盲点になっているのだという。 肛門の出現は、動物の進化にとって重大な出来事だった。それまで1つの穴しかなかった消化用の袋が、両端の開いたトンネルに変わったのだ。肛門を持った生物は、食事と排泄の行為を物理的に分離することができ、食料を糞で汚すリスクが減った。また、食事をする前に、前の食事の消化を完了する必要がなくなったため、より多くのエネルギーを得られるようになって、体も大きくなった。 現在、さまざまなタイプの肛門が存在する。ナマコのように、スイス・アーミーナイフ並みに多機能なものにした生物もいれば、肛門を何度か変化させる生物もいる。 脊椎動物形態学の専門家である、ブラウン大学のアルミタ・マナフザダは、「ボディープラン(多様な機能設計も含めた生物の設計図)のその部分については、進化の上でかなり多様な形がありました」と教えてくれた。 しかし、肛門は科学的な謎に包まれており、かなりの論争がある。肛門がいつ、どのようにして生まれたのか。また、さまざまな生物の肛門が獲得、失われた回数について、研究者たちの間でいまだに激しい議論がある。私たちの起源を探るため、この機能を正視する必要がある。
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