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Wednesday, May 26, 2021

「幸せを運ぶミニげた」かわいいと話題に 8月閉店の老舗履物店、感謝込め手作り - 岐阜新聞



  • 8月に閉店する末広屋の増田寿さん、淑江さん夫婦=岐阜市日ノ出町、末広屋 
  • 買い物客にプレゼントしているミニチュアサイズのげた 

 新型コロナウイルスの感染拡大のあおりで、柳ケ瀬商店街の老舗がまた一つ幕を下ろす。1927(昭和2)年創業、岐阜市日ノ出町の履物店「末広屋」。今年8月の閉店を決めたが、お礼の意味を込めて来店客にプレゼントし始めた手作りのミニげたがかわいらしいと、話題を集めている。その名も「幸せを運ぶミニげた」。明るく店を終わりたいとの願いを込めた。

 増田寿さん(85)、淑江さん(84)が夫婦で営んできた。創業したのは寿さんの父親。寿さんは高校卒業後、東京・浅草の履物店で住み込みで働いて修業し、20代で岐阜へ戻った。景気がいい時代は、現在の名鉄岐阜駅周辺にあった百貨店に2号店を出店し、経営にも携わった。

 しかし、昭和から平成、そして令和と徐々に和装文化は衰退した。辛抱強く店を開き続けてきたが、追い打ちを掛けるようにコロナ禍で売り上げは激減。昨年末に閉店を決断した。

 ミニチュアサイズのげたは、将棋の駒ほどの大きさ。来店客の足音がぱったりと消えた昨春、寿さんが空き時間を使って制作を始めた。市販の木材で作った土台にヒノキの歯を付け、ちりめんひもで鼻緒を結うと完成。買い物客にサービスでプレゼントしていたところ、お年寄りを中心に評判が広がった。

 閉店の具体的な日付はまだ決めていないが、しんみりとせず、笑顔で店を閉めるつもりだ。高校卒業から60年以上、げた、草履など履物づくりの職人として歩んできた寿さんは「和装や履物の文化が令和の時代に復活することを願う」と期待を込める。常に着物で店頭に立ってきた淑江さんは「お世話になったお客さん一人一人のことを思い出しながら、閉店を迎えたい」とにこやかに話す。

カテゴリ: くらし・文化



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