新型コロナウイルスを巡る3度目の緊急事態宣言の発令により、東京都内の映画館や劇場は今年のゴールデンウイークも大打撃を受けている。都の休業要請に応じ、多くのシネコンなど主な映画館は休館しているが「クラスター(感染者集団)は出ていない」と営業を続けるミニシアターもある。ずっと続く大ピンチに、青息吐息の関係者は「公的支援を」と力を振り絞って訴える。 (藤原哲也、山岸利行)
今回、休業要請に応じた床面積千平方メートル以上の映画館などには一日二十万円の協力金、都の「休業依頼」に協力した千平方メートル以下の小規模館には同二万円の「支援金」が支払われる。
早稲田松竹(新宿区)は五月十一日までの休館を決めた。「お客さまとスタッフの安全を考えて判断した」と同館。新宿武蔵野館(同)、神保町シアター(千代田区)、目黒シネマ(品川区)なども同様の措置を取っている。
営業を続ける映画館もある。ユーロスペース(渋谷区)では、客席を通常の半分にして午後八時までに上映を終わらせる。トークショーや舞台あいさつなど、期間中のイベントは中止にした。
北條誠人支配人は「今回は宣言が急すぎる」と戸惑い気味に語り、今回の支援金についても「少なすぎる」という。「お客さんが文化芸術活動から離れる怖さを感じており、客席を減らして協力する形にした。映画文化の灯を守りたい」と強調する。
ミニシアターへの公的支援を考えるプロジェクト「SAVE the CINEMA」は宣言発令前の二十一日、時短営業に応じたミニシアターに協力金の支給を求めて行動する「サイレントスタンディング」を国会前で実施。北條支配人を含むミニシアターの関係者や映画監督ら約三十人が静かに訴えた。
参加した西原孝至監督は「現場は本当に疲弊している」と明かし、「明確なメッセージを出さない政府に憤りを感じるし、これ以上振り回されるのはこりごり。ツイッター上でデモも行っており、今回のような行動を続けながら宣言の解除後には要望書の提出などを考えたい」と語る。
◆舞台もにぎわい消え…
舞台も二十五日から幕を開けることができず、にぎわいが消えてしまった。銀座の歌舞伎座の「四月大歌舞伎」では、片岡仁左衛門や坂東玉三郎らによる「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」がチケット入手困難となるほどの人気となっていたが、二十八日の千秋楽を待たずに二十五日から中止に。
渋谷の東急シアターオーブでは、人気演目「エリザベート」のスペシャル・ガラ・コンサートが五月五日まで予定されていたが、観客を入れての上演は中止となり、ライブ配信などに変更された。
ある舞台関係者は「人流を食い止めるというのは分かるが、劇場内でのクラスターは発生していない。徹底した感染防止対策もしてきたのに残念だ」と率直な思いを話す。その上で、「人流を減らすという、われわれの持ち場以外のことを要請されて無力感を感じている舞台人も多いのではないか」と心情を吐露した。
別の関係者からは「無観客ならやっていい、というが、ライブ配信をするにも準備期間が必要」「公演中止の周知期間も必要で、中止を知らずに来る人もいるかも」と、宣言の発表と発令までの期間の短さに困惑を隠せないでいる。
関連キーワード
からの記事と詳細 ( 3度目の緊急事態宣言 ミニシアター苦境続く 公的支援求める動き - 東京新聞 )
https://ift.tt/3nwrE8n
No comments:
Post a Comment