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Tuesday, March 9, 2021

重要なメールを“守る”ために、バックアップしておく3つの方法 - WIRED.jp

いまの時代、どんなメールもクラウドに保存されていていつでもアクセスできるし、あらゆるデヴァイスから簡単に検索できる。そんな世界に、わたしたちは慣れっこになっている。

一方で、障害が発生する可能性を念頭に置いて考えておくべきポイントはいくつもある。クラウドで何らかの障害が起きたり、インターネットに接続できなくなったりしたらどうするのか。何らかの理由でアカウントが停止されたり閉鎖されたりして、メールがすべて“道連れ”になってしまったらどうするのだろうか──。

これらは起こりうる問題のほんの一部にすぎない。大量のメールをうっかり削除してしまうかもしれないし、何者かがあなたのアカウントにアクセスして手当たり次第にメールを消してしまうかもしれない。メールのプロヴァイダーが、突然あなたを締め出すかもしれないのだ。

そう考えると、メールのことを「アクセスできて当たり前のもの」とは思えなくなる。ニュースレターや特別販売のお知らせ、受信箱をふさいでいるアカウント通知といったものなら問題ないかもしれないが、本当にアクセスする必要があるメールや書類はどうだろうか。少なくともメールの一部は別の場所にバックアップしておき、オフラインの状態でも常にアクセスできるようにしておくことが役に立つだろう。

1.バックアップ用アカウントに転送する

メールをすべて別のアカウントに送る最も単純な方法は、転送だ。手動で毎回する方法と、受信時に自動で転送する方法がある。例えばアップルの「iCloudメール」なら、左下にある歯車アイコンをクリックして「環境設定」「一般」と選んでいくと、「メール転送先」の横のボックスにチェックを入れて別のメールアドレスを入力できる。

ウェブ版の「Gmail」は、右上にある歯車アイコンをクリックして「すべての設定を表示」をクリックする。「メール転送とPOP/IMAP」を選んで受信メール転送のボックスにチェックを入れ、予備のメールアドレスを入力する。

Gmailには、転送するメールをフィルタリングする機能がある(例えば特定の連絡先からのメッセージを転送しないようにできる)。すべてを転送したくない場合にフィルターを作成するには、「転送」のヒントにある「フィルタを作成」というリンクをクリックする。

Back Up Emails

メールの転送は、バックアップのひとつの方法だ。IMAGE BY APPLE VIA DAVID NIELD

最後に「Microsoft Outlook」のウェブメールは、右上にある歯車アイコンをクリックして、「Outlookのすべての設定を表示」「メール」「転送」と選んでいく。そして「転送を有効にする」というボックスにチェックを入れ、使いたい予備のメールアドレスを入力する。こうすることで、Outlookの受信箱に届くメッセージがすべて、そのアドレスに送られるようになる。これで本来のアカウントに問題が生じても、少なくともメッセージを見ることは可能になる。

いずれの場合も、メッセージの“原本”を削除するのか、それとも保持するのか選択できる。今回はバックアップ作成という目的があるので、保持を選ぶことになるだろう。

このように、メールは転送によって簡単に2カ所に分散できる。ただし、転送先がクラウドアカウントの場合は、何らかの理由でネットに接続できなくなったとき、どちらのメッセージにもアクセスできなくなるので注意したい。

2.昔ながらのPOPかIMAPを使う

POP(Post Office Protocol)とIMAP(Internet Message Access Protocol)は、メールを同時に複数のデヴァイスで読めるようにする主要な方法で、大半のメールプロヴァイダーはどちらの規格にも対応している。メールのバックアップが目的である場合にどちらを選ぶのかについては、簡単な答えは出ない。使うアプリによって実装方法が少し違うことが多いのだ。

メールのホスティング先から複数の場所にデータのコピーを取得することに関しては、一般論で言えば古い技術であるPOPのほうが効率的ではない。新しい規格であるIMAPのほうには双方向同期などの機能があることから、通常は好まれる。複数のデヴァイス、複数のメールアプリで受信箱を同じように保つなら、継続的にメールサーヴァーと通信するIMAPのほうが簡単だ。

Back Up Emails

POPとIMAPはいずれも、メールのバックアップに使える。IMAGE BY MICROSOFT VIA DAVID NIELD

とはいえ今回に関していえば、メールのコピーを保存しておきたいだけなので、双方向同期の維持は特に気にすることではない。また、IMAPはウェブへの常時接続に大きく依存しているので、オフライン利用の設定はこちらのほうが難しいかもしれない。設定が自動で反映されるとは限らず、IMAPフォルダを指定してオフライン保存をメールアプリに指示する必要があることが一般的だ。

ただし、POPも“弱点”がある。メールをすべてダウンロードするよう設定した結果、元のアカウントに保存されていたメールが空っぽになってしまい、バックアップとして使いたかったデヴァイスの1台にしかメールが保存されていない状況も起こりうる。

どちらを使うかは、本当にあなた次第だ。さまざまなデヴァイスやアプリからメールにアクセスできるようにしないのならIMAPが最高だが、バックアップとしてきちんと設定するには、IMAPは少し注意が必要だ。一方、POPは常に利用できるわけではない。例えば、iCloudはIMAPに対応しているが、POPには対応していない。

3.PCのメールアプリにすべてダウンロードする

アカウントのハッキングやインターネット接続の喪失、誤削除など、考えうる問題の大部分に対するセーフティーネットにするなら、「Microsoft Outlook」や「Thunderbird」といったPC用のメールアプリにメールをダウンロードすることをおすすめする。メールを分離しておくことで、見る必要があるとき以外は触らなくて済むようにするのだ。

その際、コピーをサーヴァーに必ず残す設定にするなら、望ましいのはPOPのほうだ(この際にバックアップしようとしているアカウントをうっかり空にしないように注意したい)。IMAPも、特にオフラインでメールにアクセスするならいい方法だ。

しかし、先ほども指摘したような問題がある。つまり、手動でしか同期しないように設定するか、あるいはしっかり注意するようにしないと、クラウド側のメールが消去される“惨事”が起きたとき、その消去がPC側のアプリにも及んでしまう。

Gmailの場合は、まずPOPかIMAPが有効になっていることを確かめる必要がある。右上にある歯車アイコンをクリックし、「すべての設定を表示」「メール転送とPOP/IMAP」と進む。

Back Up Emails

Thunderbirdは無料のPC用メールアプリ。POPやIMAPでメールをダウンロードできる。IMAGE BY THUNDERBIRD VIA DAVID NIELD

Outlookでは、IMAPが自動で有効になっている。POPの場合は右上にある歯車アイコンをクリックし、「Outlookのすべての設定を表示」「メール」と進み、「メールと同期」でオンにできる。

アップルのiCloudメールは、IMAPにしか対応していない。IMAPは常に有効になっており、設定のために何かをする必要はない。

Thunderbirdなどのメールアプリはメールアドレスとパスワードだけで接続できるが、標準設定ではIMAPが使われる。これをPOPに変えるなら、セットアップのプロセスで「手動設定」をクリックしよう。

GmailとOutlookは、アクセスに必要なさまざまな情報をオンラインで見つけてくれる(iCloudは、すでに説明したようにIMAPにしか対応しておらず、Thunderbirdは自動でセットアップする)。2段階認証で保護されているアカウントだと、Thunderbird用のパスワードが必要になるかもしれない。

メールがThunderbirdに同期される場合、確認すべきポイントがある。POPを選ぶ場合は、アカウント設定から「サーバー設定」と進んだあと、「サーバーにメッセージを残す」にチェックが入っていることを確認しよう(チェックが入っていない場合は、すでに説明したように、Thunderbirdにダウンロードされたメールがクラウドから削除されてしまう)。

IMAPの場合はオフラインでアクセスしたいフォルダーを右クリックして、「情報を見る」「同期」と選び、オフラインでのアクセスが有効になっていることを確認する。

4.その他の選択肢

すでに説明したように、方法はひとつではなくたくさんある。緊急時対応にどんなプランを盛り込みたいのか、どこまでしっかりしたバックアップにしたいのか考えるようにしよう。

例えば、ウェブ版のiCloudメールで個々のメールをダウンロードするには、開いたメールの上にある歯車アイコンをクリックし、「メッセージをダウンロード」を選ぶ。ある程度の量ならこれで間に合うかもしれない。

ウェブ版Outlookにはこれに相当するものがない。Gmailでは、iCloudよりずっと包括的なダウンロードを選べる。ウェブの「Google Takeout」ページを開けば、Gmailアカウントにあるデータすべてを完全にダウンロードできるほか、特定のラベルのメールだけダウンロードすることもできるのだ。重要だが頻繁に必要になりそうではないメッセージを定期的にローカルにバックアップしたいだけなら、後者がぴったりかもしれない。

Back Up Emails

Google Takeoutでは、Gmailアカウントにあるすべてをダウンロードできる。IMAGE BY GOOGLE VIA DAVID NIELD

ウェブのGmailは実に優秀で、ほかのアカウントにPOPとIMAPでアクセスすることもできる。設定画面(歯車アイコンから、「すべての設定を表示」をクリック)に移動して「アカウントとインポート」を開き、「メールアカウントを追加する」をクリックすると設定できる。

これで別のアカウントにあるメールのコピーをGmailに取得できるようになるほか、設定画面の「オフライン」タブからはオフラインでのアクセスを有効にすることもできる。これならThunderbirdのようなPC用アプリの代わりになるだろう。

ちなみにWindowsとmacOSには、いずれも標準装備のメールアプリがある。ThunderbirdとOutlookの代わりにこれを使い、メールを読む主な方法をクラウド経由にしてもいいだろう。この記事で取り上げた方法をいくつか組み合わせれば、最重要なメールは安全にコピーされているという“安心”が得られるはずだ。

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