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Tuesday, February 2, 2021

環境認証が重要な非財務情報へ 賃料への効果はいまだ限定的(前):【公式】データ・マックス NETIB-NEWS - NET-IB NEWS

外国人投資家のESG投資

(株)ニッセイ基礎研究所 
金融研究部主任研究員
吉田 資 氏

 大手不動産デベロッパーや不動産運用会社などが「RE100」に加盟し、環境への配慮を強めている。これは、J-REIT(不動産投資信託)の外国人投資家らは、ESG投資への関心が高く、環境に配慮されていない不動産への投資がされにくいためだ。J-REITにおける外国法人などの投資割合は25.1%を占めており、欧米でのESG投資拡大の影響を受けずにはいられない。外国人投資家は、ESG投資の基準を定める国際ESG不動産評価機関GRESBの評価を基に不動産ファンドが環境に配慮したビルを運用しているかを見て、投資対象を選別している。環境認証の格付けでは、ビルで使うエネルギーの消費量を実質ゼロにする「ゼロエネビル」が含まれていれば評定が高くなるなどのチェックポイントがある。

 今はまだそこまで顕著ではないが、今後、RE100に加盟する企業が増えると、再エネ由来電力が提供されるオフィスに入居したいという意向が強まるだろう。

 CASBEEなどの不動産の環境性能の認証を積極的に取得する動きは、物流施設を運用する企業でとくに顕著だ。物流施設はトラックの往来が多くCO2排出量が多いため、不動産ファンドに新規で組み入れられる物件は屋根にソーラーパネルを設置するなど電力の再エネ化に取り組み、運用企業が環境認証を取得しているケースが多い。

 グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(株)(GLP)や(株)プロロジス(PROLOGIS)、三井不動産、三菱地所などは、外国人投資家が多いJ-REITを運用しており、環境配慮に積極的だ。アスクル(株)など物流施設を利用する企業も積極的に再エネを導入しており、CO2排出量削減に向けて物流網や流通センターの効率化が進むだろう。また、商業施設では、イオンが大規模店舗の屋根に太陽光発電を設置するなど、取り組みを始めている企業も見られる。

東京都の大口テナント、CO2削減義務が課される

 2020年、東京都は「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」により、大口テナントへ20~24年度でCO2排出量を基準排出量比25~27%削減する義務を課した。CO2排出量が少なく環境に優しいとされるオフィスビルへの入居に、インセンティブを設けたかたちだ。RE100に加盟する三菱地所の丸ビル、大手門タワー・JXビルや三井不動産のオフィスビルなどでも、再エネ由来電力供給の取り組みがなされている。

 一方、中小規模ビルや築年数が経過したビルでは、すべての環境対応をオーナー側が行うのは困難なのが現状だ。そこで、国土交通省や東京都は、CO2排出量の削減のために照明の交換費用を折半するなど、オーナーとテナントが個別に契約を結ぶ「グリーンリース」を推進してきた。蛍光灯をLEDに交換すると光熱費が下がるというように、オーナーとテナント双方にメリットがあるケースが想定されるが、なかなか根付いておらず、普及に課題を残している。

(つづく)

【石井 ゆかり】

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