熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした7月豪雨災害から、まもなく半年を迎える。被災者の生活再建支援や、県が川辺川への流水型ダム建設を国に要請した球磨川流域の治水対策の検討はこれから本格化する。新型コロナウイルス対応と熊本地震からの復興も県政の重要な課題だ。蒲島郁夫知事に今年の取り組みや展望を聞いた。(聞き手・野方信助、内田裕之、写真・池田祐介)
-7月豪雨からまもなく半年。約4千人の被災者が仮設住宅などで仮住まいを余儀なくされています。
「建設型仮設は昨年12月に全808戸が完成した。まずは落ち着いた環境で再建の在り方を考えてほしい。今後、被災世帯への意向調査で状況を個別に把握し、熊本地震の時に用意した住宅ローンの利子助成などの支援メニューを磨きながら対応していく。(2024年までの)任期中に住まい再建にめどをつけたい」
-昨年11月、短期から長期までの対策を盛り込んだ復旧・復興プランを示しました。
「球磨川流域は人口減少が進んでいる。ただの復旧では人口流出が加速し、地域が消滅する危機感があった。なりわい再建支援補助金などによる生活再建を急ぐとともに、長期的にはICT(情報通信技術)など最先端技術を活用した地域振興やベンチャー企業の誘致などを進めたい」
-プランには具体的なスケジュールが盛り込まれませんでした。いつ示しますか。
「3月に長期の計画を含めたロードマップを公表したい。住まいの再建や人吉市街地のまちづくり、被災が大きかった地域の高台移転などを含めた見取り図を作り、市町村と連携しながら具体化していく」
-球磨川流域の治水対策として、川辺川への流水型(穴あき)ダム建設を柱とした流域治水の実現を国に要請しました。
「命と清流を両立して守ることを最大限考えた。遊水地や河床掘削だけでは、水害を防ぐ確実性が足りない。国とは合意できた。これから県民の合意を求めていくプロセスになっていく」
-流水型ダムで「環境を守れるのか」などと疑問の声が聞かれます。
「ダム問題で住民間の対立が再び生じることは避けなければならない。『ダムか、非ダムか』ではなく、賛成反対の意見を持つ双方の歩み寄りが必要だ。最新技術を生かし、自然への負荷の最小化を追求したい。(貯留型の)現行の川辺川ダム計画は廃止する。住民には異なる計画であることを説明していきたい」
-今年の梅雨にどう備えますか。
「最も重要な点だ。多くの住民が望んでいる支流を含めた河床掘削は、国と県で分担し、目に見える形で事業を進める。梅雨までに堆積土砂の撤去を終えたい。年明け早々に、国や市町村とともに短期的に取り組む対策を『緊急治水対策プロジェクト』として示していく」
からの記事と詳細 ( 豪雨住まい再建「市町村と連携し具体化」 21年熊本県政展望、蒲島知事に聞く - 熊本日日新聞 )
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