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Friday, May 1, 2020

ミニシアターで働く人の危機で、濱口竜介が考えた「責任」 - CINRA.NET(シンラドットネット)

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言や、補償が不明瞭な状況の中での自粛要請を受け、多くのミニシアターが閉館の危機に晒されている。そのような状況を受け、4月13日にMotion Galleryでスタートした「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」は、クラウドファンディングを使って小規模映画館への支援を募っている。当初の目標であった1億円は3日で達成されたが、自粛要請が長期化する懸念も想定される。

そうした状況を受け、深田晃司監督とともに「ミニシアター・エイド基金」の発起人を務める濱口竜介監督にオンラインインタビューを実施。本クラウドファンディングを実施するにいたった経緯から、まだまだ補償が明確にならない行政、公共に対しての胸中、コロナ禍で表出した日本社会の課題を語ってもらった。

写真は、2018年8月のインタビューで撮影されたもの(参考:『寝ても覚めても』濱口竜介監督が導く、日本映画の新時代

映画を守るというより、映画に携わる人たちの「暮らし」を守ることが第一かなと考えています。

―ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金は、映画のつくり手の方々が動いてくださったことが、大きな動きに繋がっているのではないかと感じています。どう立ち上がっていったのでしょうか。

濱口:自然発生的ですね。僕はまずは身近な人に声をかけていきました。その中にMotion Galleryを運営している大高(健志)さんもいたんです。そして、大高さんに連絡した1時間後くらいに深田晃司監督から「僕もクラウドファンディングを考えていて、さっき大高さんに電話したんです。一緒にやりませんか」と電話がかかってきて、翌日からミーティングをはじめました。深田さんは、国や公に対する「SAVE the CINEMA」という、より長期的で広範囲な動きの中心人物の1人でもあるので、ごく自然とSAVE the CINEMAとも連携して動いていくことになりました。

濱口竜介(はまぐち りゅうすけ / 写真は、2018年8月のインタビューで撮影されたもの)<br>映画監督。東京藝術大学大学院修了制作『PASSION』(2008年)が国内外で高く評価され、演技経験のない4人の女性を主演に迎えた前作『ハッピーアワー』(2015年)がロカルノ、ナント他の多くの国際映画祭で主要賞を受賞。2018年『寝ても覚めても』で初の商業映画を監督した。「ミニシアター・エイド基金」発起人を務める。
濱口竜介(はまぐち りゅうすけ / 写真は、2018年8月のインタビューで撮影されたもの)
映画監督。東京藝術大学大学院修了制作『PASSION』(2008年)が国内外で高く評価され、演技経験のない4人の女性を主演に迎えた前作『ハッピーアワー』(2015年)がロカルノ、ナント他の多くの国際映画祭で主要賞を受賞。2018年『寝ても覚めても』で初の商業映画を監督した。「ミニシアター・エイド基金」発起人を務める。

―ミニシアターに対してアクションを起こそうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

濱口:名古屋シネマスコーレの坪井(篤史)副支配人のnoteのインタビュー記事を読んだことが直接的なきっかけでした。そのときすでに外出自粛要請が出ていて、どんどん客足が遠のき、本当にまずい状態だと。シネマスコーレでは過去に自分の作品を上映していただいたことがあり、坪井さんにもお会いしたことがありました。そのため、ダイレクトに伝わってくるものがあり、「知っている人が困っている、なんとかしないと」というすごくシンプルな気持ちが湧いてきました。

ただ、単に個人的な思いでは十分ではないので、ミニシアターに対してクラウドファンディングを行う上で、「社会的に意義のあること」として呼びかけるため言語化していったところ、「緊急性」と「重要性」にたどり着きました。緊急性というのは、客足が途絶えてしまったとき、経営基盤の弱いミニシアターは確実に閉館が目に見えている状況で、既にタイムリミットが切られているということ。対して重要性は、現在の映画上映の多様性はミニシアターが支えているということです。スクリーン数としては日本全体の1割程度しかないミニシアターで、年間上映タイトルの7割が上映されています。世界各国の多様な映画を受容できているのはミニシアターのおかげ、という事実があるということ。この緊急性と重要性を言葉にして、皆さんに届けるように動くことを決めました。

―先日行われたDOMMUNEの記者会見で濱口監督は「映画に関わる人の暮らし」についてお話されていたのが印象的でした(参考:「ミニシアター・エイド基金」深田晃司、濱口竜介らが記者会見)。

濱口:当たり前の話ですけど、どの映画館も運営している人がいます。そして自分は今まで映画監督として映画をつくり、いろんなミニシアターで上映していただき、劇場の方々とお会いしてきました。「あの映画館はあの人がやっている」というように、支配人やスタッフの顔と結びついていて、「映画館」という抽象的な存在ではなく、具体的な一人ひとりの生によって構成され、営まれている場所だと感じています。

ミニシアターで働く人たちは、なにがしか映画に対する思いや志をもっています。今回改めて、その志の周りに人が集まっているんだと思いました。守ろうとしている「ミニシアター」とか「映画」とは、具体的にその人たちの暮らしや営みのことなんだと感じています。その人たちの「暮らし」を守ることができれば、必然的に映画を守ることにつながります。僕個人としては、緊急支援策としてのミニシアター・エイドのクラウドファンディングでは、映画を守るというより、映画に携わる人たちの暮らしを守ることが第一かなと考えています。

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May 01, 2020 at 05:33PM
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