横浜市保土ケ谷区の育生会横浜病院。敷地入り口から高台の病院玄関までモノレール「ごんたん」が来院者を運ぶ |
桜の下を数人乗りのかわいいモノレールが通りすぎていく。あまりに小さく、気づかないほどだ。上野動物園を走っていた日本初のモノレールは昨年10月、惜しまれつつ営業を休止したが、どっこいミニモノレールはバリアフリーの潮流とともに、じわりと存在感を増しつつある。 (浅井正智)
◆病院まで3分の旅 横浜「ごんたん」
ウグイスのさえずりが聞こえる中、六人乗りのモノレールがゴトゴトと音を立てて進んでいく。名前は、すぐ近くの権太坂にちなんで「ごんたん」。横浜市保土ケ谷区の育生会横浜病院が、通院してくる患者たちのために設置したものだ。
全長百四十メートル。時速四キロで三分の旅。すぐ横の坂を歩く人に追い抜かされるほどだが、それでもモノレールはなくてはならない存在になっている。十数年前から通院する区内の女性(81)は「これがないとハーハーと息が切れてしまう。本当にありがたい」と話す。
病院は以前は横浜駅西口にあったが、一九九五年に現在地に移転してきた。小高い丘の上にあることからモノレールを敷いた。乗車賃はいらない。
「ごんたん」に乗り込む人たち |
運転士はおらず、ボタンを押せば自動運転が始まる。エレベーターと同じだが、記者が乗ると担当職員の山上勇さん(71)が乗り込んできて操作した。「ここは病院。脚が悪い人もいれば、目が見えない人もいるので、必ず一緒に乗ります」という言葉に納得する。
オレンジと緑の車体は、二〇〇六年までJR東海道線を走っていた湘南電車そのもの。このデザインになったのは、鉄道好きの理事長、碓井貞彦さん(55)の趣味が高じた結果だとか。
「これを見てください」とうれしそうに指さした車体には「東チタ」と書かれていた。湘南電車が田町電車区(東京都港区)に配備されていたことを示す略号だ。「来院する人だけでなく、若い鉄道マニアにも楽しんでもらえると思います」
えっ、乗りに来るだけでもいいのですか? 碓井さんは「もちろんです。世の中に病院はたくさんあっても、エンターテインメントのある病院は他にはないのでは。皆さんに愛着を持ってもらえる病院にしたい」。
◆全長18メートル、途中駅もあります 浅草「さくらレール」
日本一短い浅草の待乳山聖天のモノレール「さくらレール」。階(駐車場)から最上階(本堂)まで約1分 |
もっと小さいモノレールもある。台東区の浅草寺近くにある待乳山聖天(本龍院)の「さくらレール」は全長十八メートルで、下の駐車場と標高十メートルにある本堂を結ぶ。無料で定員は四人。
待乳山と言えば、時代劇ファンならおなじみの地名だろう。近くで生まれ育った池波正太郎の代表作「鬼平犯科帳」にしばしば取り上げられ、さかのぼれば江戸時代に浮世絵にも描かれた名所だ。やはり高齢の参拝者のため、一二年にモノレールを設置した。
距離こそ短いが、ちゃんと途中駅もある。友人と千葉県から遊びに来ていた短大生の子安来実さん(20)は、「目の前に東京スカイツリーが見えたし、乗り心地も良かった」と思わぬ発見に満足そうだった。
「さくらレール」は定員4人。千葉県から浅草観光に訪れた子安来実さん(左)と吉田直美さん |
バリアフリー化にあたっては、エレベーターも選択肢にあった。僧侶の杉本真海さん(29)によると、「地形を変えないといけないエレベーターに対し、モノレールは既存の斜面にレールを敷けばよく、予算面でもまさっていた」という。
ちなみに、さくらレールを製作した「嘉穂製作所」(福岡県飯塚市)は国内最大手で、今や個人宅用のミニモノレールや韓国への輸出も手掛ける。
もともと炭鉱業で働いていた技術者たちが、閉山後の一九七〇年につくった会社で、「坑内で使うベルトコンベヤーなどのメンテナンスを通じて身につけた技術が、モノレール開発に生かされた面もある」(担当者)というから、炭鉱とモノレールは不思議な縁でつながっている。同社のモノレールは首都圏に十数カ所はあるとか。
◆桜の名所の山登り 飛鳥山 「アスカルゴ」
北区の飛鳥山公園のモノレール「アスカルゴ」が都電荒川線と「共演」 |
他に都内では飛鳥山公園(北区)の「アスカルゴ」も有名。ミニモノレールはきょうも、小さな体で頑張っている。
(2020年4月1日朝刊TOKYO発面に掲載)
"ミニ" - Google ニュース
April 02, 2020 at 09:01AM
https://ift.tt/2WYfARX
のんびり快走 ミニモノレールでGO! 小さくてもみんなの「足」に:社会(TOKYO Web) - 東京新聞
"ミニ" - Google ニュース
https://ift.tt/38jjDvd
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
No comments:
Post a Comment