#TSUTSUGOチャレンジ-。レイズ筒香嘉智外野手(28)の打撃論を軸にした「日米比較論」の第5回は、「打球方向」に迫る。     ◇   ◇   ◇

いい当たりも、野手の正面を突けばアウトに、ボテボテでもコースによっては「H」ランプがともる。安打と凡打の分岐点を、筒香はどう考えているのか。

「バッティングは角度だと思う。縦の角度は投手がいろんな球種を投げてくるから、打者が左右できない部分がある。でも打球方向の角度は、打者が自分で動かせる。いい当たりのサードゴロになるか、三遊間を抜けるかは微妙な角度の問題になる」

打球の横軸における角度は、結果の明暗を分ける大きな要素になる。ヒットになる角度は、試合前の確認と微調整によって生み出される。

「日々、体の状態は微妙に変化する。だから練習前までに、その日の自分の体を把握しなければいけない。食事をする時の箸を持った際の感覚、シャンプーするときの動作もそう。朝起きて、立ったときの重心の位置とか、確認作業は数え切れない」

細かな1つ1つの動作を確認し、認識した上で、試合前の打撃練習で微調整を繰り返す。「打撃練習でヒットコースに飛ぶ角度を確認して覚えておかないといけない。いい当たりのライナーで満足していたら、それは試合には生きない」。メジャーでのオープン戦も、同様の作業を地道に積み重ねた。

「プロ野球選手であれば、完璧に芯で捉えたら、ほとんどの場合はホームランになる。いい当たりだけどファウルになった、正面を突いたというのも結果だし、逆に弱いゴロでもコースヒットになるのも結果」

完璧な打球を除けば、安打と凡打は紙一重というケースは少なくない。「(左打者の)ヒットコースという意味では、サードゴロか三遊間のゴロが、ヒットと紙一重になる。僕の場合はショートゴロは紙一重にならない。長打でいえば、セカンドゴロは紙一重。縦の角度がつけばホームランになる」。日本よりも極端な守備シフトが多用されるメジャーでは、横軸の角度(=ヒットコース)は、より重要度が増してくる。

ファウルも紙一重の1つと言える。かつてはタイミングが合っているとされた「バックネット方向へのファウル」の捉え方は、時代とともに変化してきた。【為田聡史】

(つづく)