これまで、全国のJR編(「盲腸線と言われて残念な『超ミニ支線』10選」)、関東の私鉄・第三セクター編(「東京近郊の目立たなくて残念な『ミニ路線』10選」)、中部地方の私鉄編(「『派手さ』がなく残念、名古屋周辺ミニ路線10選」)と、地域に密着した短い路線を紹介してきた。
ミニ路線シリーズの第4弾は、関西圏の私鉄から10路線を取り上げてみたい。このエリアでは阪急、南海、近鉄といった大手を中心に数多くのミニ支線が存在している。
ほかの地域ではモータリゼーションの発達によりかなりの路線が廃止に追い込まれてしまったけれど、関西圏では、今なお健在の路線も多いのはうれしい限りだ。
■まずは阪急から
まずは、ミニ路線を数多く抱える阪急から見ていこう。
1)阪急甲陽線
阪急神戸本線の夙川(しゅくがわ)駅から分岐し北に位置する甲陽園駅まで2.2㎞、所要時間5分の阪急電鉄最短のミニ路線。単線で3両編成のワンマン運転の電車が日中は10分ごとに往復している。途中にある唯一の中間駅苦楽園口で上下列車がすれ違う。
甲山(かぶとやま)の山麓に点在する住宅を目指すように進む。桜の名所でもある夙川公園に沿って走り、苦楽園口駅の先で夙川を渡ると、最後は大きく左にカーブして甲陽園駅に到着する。
沿線は阪神屈指の高級住宅地であり、緑も多く、気品ある女性客も目につき、ゆったりした気分で乗車できる。甲陽園駅の駅舎は1924(大正13)年の開業時以来の古びた味わい深い建物で近畿の駅百選に選ばれている。
2)阪急今津線(今津―西宮北口間)
かつて、西宮北口駅で神戸本線と平面交差していた今津線。1984年に平面交差を解消した後は、今津北線と南線に分断された。南線は今津―西宮北口1.6kmを3分で結ぶ超ミニ路線となっている。
途中駅は阪神国道駅のみ(阪急の駅なのに阪神を名乗るのは、阪神は電鉄名ではなく、「阪神国道」という国道2号線の別称を駅名としているからだ)。超ミニ路線にもかかわらず、西宮北口駅ホームを除いて全線複線である。
3両編成のワンマン電車が行き交っているのは、甲陽線と同じだ。今津駅は高架で、阪神本線の今津駅とは歩行者専用連絡通路で結ばれてはいるものの、高架の3階にホームがあり、阪神とは直交する位置関係にあるので、一見すると盲腸線の終着駅のような雰囲気である。
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