総括
FX「ミニ有事でドルが強い。円は日本株動向・資本の動向がカギ」
ドル円=145-150、ユーロ円=155-160、ユーロドル=1.04-1.09
通貨ごとの注目ポイント
*円「ミニ有事でドルが強い。円は日本株動向・資本の動向がカギ」
ミニ有事でドルが強い。昨年2月のウクライナ侵攻のようなサプライズ感はないが、原油高、米中経済摩擦、ロシアのウクライナ侵攻の長期化もあり、今年前半の世界的なリスク選好感は少し衰えている。需給では、9月20日に8月貿易統計があり、最近は輸入が激減し貿易赤字が縮小しているが、まだ赤字だ。円安だが輸出の伸びが小さい。一方、資本の外債・外株投資は積極的だ。GPIFや外貨投信の伸びは大きい。生保は、それほど積極的でないようで、残高は円安で増加しているが新規投資は少ない。
さて注目の日銀政策決定会合がある。市場がマイナス金利解除の思惑を高めた読売新聞の報道だが、政府・自民党が即座に火消しに入っていることもあり、今週の会合では現状維持となるだろう。植田総裁も今まで通りの見解を示すと予想する。
円高株安となるとすれば、外部要因だろう。UAWのスト、債務上限問題、大統領弾劾問題で揺れる米国市場が荒れれば、日本市場にもリスク回避の動きとなる。それでも新NISAを控え、日本株の押し目買いが出れば、投資家のリバランスで外貨投資、円売りが出る。
*米ドル「通貨5位(4位)、株価(NYダウ)13位(11位)、FOMCの今後の経済見通しに注目。ミニ有事でドル買いも国内不安あり」
ドルがやや強い。米国のファダメンタルズの強さというよりも、国際間の緊張がやや高まり、原油価格の上昇などによるものだ。米露分断、米中回避の動きで、ミニ有事の流れともなっている。米国は中国の一帯一路に対抗して、インド・サウジ・欧州を繋ぐ輸送網を築こうとしている。分断の動きは長期的に続きそうだ。
FOMCはフェッドウオッチで据え置き確率が97%となっている。11月もやや据え置き確率が高い。引き締め政策へのバイアスが維持されるかが焦点だ。また同時に発表される「経済と政策金利見通し」も注目したい。8月の消費者物価は前年比3.7%上昇し、伸びは2カ月連続で加速。ただ、食品・エネルギーを除くコア指数は約2年ぶりの小幅な伸びにとどまっている。ミシガン大の短期インフレ期待が1年以上ぶりの水準に低下した。1年先のインフレ期待は3.1%と、前月の3.5%から低下し、2021年3月以来の低水準を付けた。
不安要因は、UAWのスト、債務上限問題、大統領弾劾調査などだ。大統領選挙を来年に控え駆け引きが過激になってきた。
*ユーロ「通貨6位(5位)、株価7位(7位)DAX)、対ドルで9週連続陰線。0.25%利上げも打ち止め感が出てユーロは下落」
ECB理事会は据え置き予想も大方が、0.25%の利上げとなった。それでもユーロは対ドルで下落した。9週連続でユーロは対ドルで下落、弱い。ECB声明では利上げ打ち止め感が示唆された。ECBは「主要金利が、十分に長期間維持されればインフレ率が適時に目標に戻るのに大きく貢献する水準に達していると考えている」と表明したことでユーロが売られた。ECBが政策金利の引き上げよりも維持を重視していると理解された。
インフレ低下は満足すべきものではないが、景気は減速している。欧州委員会は、ユーロ圏20カ国の23年の実質成長率を0.8%と前回5月から0.3%下方修正。ドイツはマイナス0.4%と景気後退に陥ると発表した。ユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)も好不況の節目である50を3カ月連続で下回り、2年9カ月ぶりの低水準だ。
仏のル・メール財務相は「ECBはこれ以上金利を引き上げるべきではない。政策金利は妥当な水準にあり、 この水準の金利に固執する必要がある」と語った。
*ポンド「通貨3位(3位)、株価16位(19位)、景気は落ち込むも、高インフレで0.25%の利上げか」
対ドルで下落傾向にある。英の7月GDPが予想を超える前月比0.5%のマイナス成長になった。JPモルガンは、通年の見通しをそれぞれ0.2%引き下げ0.4%増とした。今年の英経済はゼロ成長にとどまるものの、厳しい経済統計が多数出ており、リセッション入りの深刻なリスクを示唆している。8月の各購買担当者景気指数PMIは予想より悪く、雇用指数の悪化ペースも若干懸念される。今週は政策金利の決定があるが、
前日に8月消費者物価の発表がある。予想は7.1%上昇で7月の6.8%を上回るが。コアの予想は6.8%で7月の6.9%を下回る。
英中銀は政策金利を0.25%引き上げ5.5%とする見込みだ。 ベイリー中銀総裁は、利上げサイクルの終わりが「ずっと近づいてきた」と述べつつ、今月の利上げを示唆。タカ派として知られるマン政策委員は、利上げを時期尚早で止めるよりは行き過ぎた方がましだと主張している。
*豪ドル「通貨8位(8位)、株価15位(14位)、中国景気の持ち直しと資源価格の上昇でこじっかりか」
豪ドルはやや持ち直した。今年は対ドルでは弱いが、円がさらに弱いので日本人の感覚では豪ドルは実際底堅い。先週は対ドルでもこじっかり推移した。サウジアラビアとロシア主導の原油生産減産で原油価格、LNG価格の上昇があったこと、中国の8月小売売上や鉱工業生産が改善したという外部要因があった。国内では8月の雇用統計で、就業者数が予想以上に伸び、労働参加率は過去最高、失業率は横ばいで、これまでの利上げによっても労働市場の逼迫がさほど和らいでいないことが確認された。ただだ就業者拡大のほぼ全てはパートタイム雇用が6万2100人増加したことが主因で、RBAの政策見通しを大きく変えることはなさそうだ。チャーマーズ財務相も、8月の雇用統計を歓迎するものの、今後の労働市場は勢いが鈍る可能性があると指摘した。
2Q・GDPは前年比では2.1%増加。予想の1.8%増を上回った。輸出と公共投資がけん引する一方、高水準の金利が需要を抑制し家計消費は低迷した。
*NZドル「通貨9位(9位)、株価19位(19位)、物価上昇、リセッションの中で総選挙へ、焦点は2Q・GDP」
豪ドルに対して若干弱いが、ほぼパラレルに動いている。今週は重要指標が多い。先ずは2Q・GDP。22年4Q、23年1Qと前期比マイナス成長でリセッション中だ。2Qの予想は前期比0.5%増、前値日で2.9%増であり、リセッションを抜け出せるか。その他、2Q経常収支、8月貿易収支の発表がある。いずれも赤字予想だ。中国景気の減速、酪農製品の下落で輸出が伸びない。8月の中国の小売売上や鉱工業生産が持ち直したのでそこに期待したい。
8月の製造業パフォーマンス指数(PMI)は46.1と、7月の46.6から低下した。 景況改善・悪化の分岐点となる50を引き続き下回った。
10月14日の総選挙まで1カ月に迫ったが、与党・労働党が苦戦している。物価高が続き、現政権への世論の不満は根強い。ヒプキンス首相は減税や医療費軽減を打ち出して支持のつなぎとめを図るが、6年ぶりに政権が交代する可能性がある。ただ豪にしろ、NZにしろ、政権が交代しても経済政策が大きく変わることはない。基本的に、与野党とも財政赤字の削減に努力していて、それが高格付けに繋がっている。その点では長期投資に適する通貨だ。豪と比べればNZの主要輸出品が酪農製品だけというところが、常に豪の後塵を拝する要因だ。
テクニカル分析
「先週初め下離れも4日連続陽線で強い」
日足、9月11日は下放れも4日連続で盛り返す。9月14日-15日の上昇ラインがサポート。ボリバン上限は148.30あたり。22年10月21日-9月15日の下降ラインが上値抵抗。5日線。20日線上向き。
週足、稀に見るが先週、前々週とほぼ同じローソク足。週初下離れも、その後は戻す。8月28日週-9月11日週の上昇ラインがサポート。22年10月17日週-23年9月11日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。雲の上。
月足、7月は4か月ぶり陰線も長い下ヒゲで8月の陽線を誘導。5か月線、20か月線は上向き。7月-8月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年8月の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。
年足、2023年はここまで陽線。2022年の長い上ヒゲを駆け上る。21年-22年、12年-21年の上昇ラインがサポート。
「9週連続週足陰線、日足はボリバン下限」
日足、一時ボリバン下限から反発もECB理事会後再びボリバン下限へ下落。9月14日-15日の下降ラインが上値抵抗。20日線下向き。5日線、21日下向き。
週足、9週連続陰線。8月28日週の長い上ヒゲが下押す。中位を割る。ボリバン下限近い。5週線、20週線下向き。22年10月31日週-23年9月11日週の上昇ラインがサポート。9月4日週-11日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、7月の長い上ヒゲで8月は下落。9月も下落スタート。7月-8月の下降ラインが上値抵抗。23年6月-7月の上昇ラインを下抜く。22年10月-11月の上昇ラインがサポートだが瀬戸際。5か月線、20か月線下向き。
年足、陰転。2022年は2年連続陰線もボリバン2σ下限到達し反発していたが先週陰転。22年の下ヒゲが長く反発力あり上昇したが元に戻る。02年-22年の上昇ラインがサポート。21年‐22年の下降ラインを上抜くも元に戻る。
「伸び悩む。ボリバン下限で反発」
日足、じり安もボリバン下限で抵抗。 9月14日-15日の上昇ラインがサポート。9月14日-15日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、ボリバン上位で高原上に推移。7月24日週-9月11日週の上昇ラインがサポート。8月28日週-9月11日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向き。
月足、スピード緩めるも年初来高値圏にあり。7月は陰転も下ヒゲを出し8月の上昇へ。6月-7月の上昇ラインがサポート。2008年7月-23年8月の下降ラインが上値抵抗。5か月、20か月線は上向き
年足、3年連続陽線。今年はさらに大陽線。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。
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