輸入車モデル別で7年連続1位を記録する人気の「MINI」。その電気自動車(EV)化に向けた種まきが日本でもいよいよ始まった。BMWは次世代コンセプトモデルを2023年3月のファン向けイベントで初披露。来日したデザインの責任者が明かすEV時代のMINIの魅力とは。
ビー・エム・ダブリュー(以下BMW)は2023年3月2日、英国生まれのプレミアムコンパクトカー「MINI」の次世代コンセプトモデル「MINI Concept Aceman(ミニ コンセプト エースマン)」を日本で初披露した。ゴロ合わせで例年3月2日には、「MINIの日」として同社はファン向けイベントを開催している。今年も「MINI ELECTRIC FUTURE.」の名称で開き、MINI Concept Acemanは目玉として会場に展示。多くのファンが一目見ようと詰めかけた。
30年初頭に全モデルをEV化
MINI Concept Acemanは、多目的スポーツ車(SUV)とハッチバック車の中間に位置づけられるクロスオーバータイプの電気自動車(EV)のコンセプトカーだ。BMWは、海外では19年にハッチバックタイプのMINI「クーパーSE」をEV化したモデルを初めて市販化。21年には、将来MINIをEV専門ブランドへと移行させるべく、25年に最後となるエンジン搭載モデルの投入し、それ以降の新型車を全てEVとすることを表明。30年代初頭にはすべてのモデルのEV化を終える計画だ。MINI Concept Acemanはその旗印であり、MINIの将来の姿を先んじて世に示したものだと言える。
コンセプトカーということで具体的なEVのパワートレインの詳細は明らかにされなかったが、内外装はじっくりみることができた。ボディーサイズは全長4.05×全幅1.99m×全高1.59mと、現在のMINIクロスオーバーよりコンパクトに仕上げている。最大の特徴は、全長が同じ程度でエンジンを積む競合車種よりも室内スペースが広い点だ。EV化により、パワーユニットに割くスペースが少なく済む点を生かし、前後のタイヤ間の距離を長くすることで実現した。
「カリスマティック・シンプリシティ」と呼ぶ新たなデザインコンセプトを打ち出した点も特徴だ。フロントのグリル部分をライトで縁取りし、ヘッドライトを六角形にするなど、近未来的な外装とした。ただ1959年に登場して以来60年以上に渡って基本的なデザインを変えずに進化してきたミニと、その流れを受け継ぐ現代のMINIは、そのスタイルが多くのファンに愛され続けてきた。そこでMINI Concept Acemanも、一目でMINIシリーズと分かる配慮がある。次の10年に向けて、BMWがどうMINIを味付けしていくのかがよく分かるデザインとなっている。
インテリアも同様だ。ダッシュボード部は59年デビュー当時のモデルのセンターメーターを模して、円形の大型有機ELディスプレーを採用。スイッチ類の配置を最小限にとどめた。端的に表すなら“古くて新しい”と言ったところか。一方で現代の自動車メーカーには欠かせない環境対策も抜かりはない。素材として、飼育時にCO2排出量の多い牛革や、化学処理を行うクロームメッキを一切使っていない。その影響で陳腐な雰囲気とならないように、素材や造形でうまくカバーする様々なアイデアが盛り込まれている。
イベントに合わせて来日したMINIデザインの責任者であるオリバー・ハイルマー氏は、「このコンセプトカーには、将来のMINIの多くのヒントが隠されている。フル電動化はデザインに自由度を与え、スタイルもより“クリーン”なものにしやすい。このため、モデルごとのキャラクターを今後より際立たせていきたいと考えている」と明かす。
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