「ぽっぷるメイルはPC-88版以外認めねぇっす!」
筆者の記憶で「ぽっぷるメイル」について最も色濃く残っている物は、高校時代に後輩から熱く語られたこの一言である。筆者が最もよくプログラムを楽しんでいた、8bit/16bitパソコンの時代、日本ファルコムはNECのPC-8801mk2SR以降機種向け、PC-9801RX以降機種向けゲームタイトルを多くリリースしていた。そんな1991年12月にリリースされたPC-88版「ぽっぷるメイル」。それから半年後にはPC-98版をリリース、家庭用ゲーム機向けには1994年には今回紹介するメガCD版を発売している。
今回本稿の執筆に当たって改めて確認してみたところ、確かにPC-88版のみテイストがちょっと異なる。ゲームのシステムとしては、PC-88版とPC-98版とであまり違いはないが、PC-98版以降の「ぽっぷるメイル」はパッケージやゲーム内のグラフィックスなど、非常に細かいところになるのだが、全体的にデザインがスマートになっている印象なのだ。特にパッケージはかなりキャラクターのテイストが異なっており、当時の後輩はこの辺りに違和感を感じたのかもしれない。
とまぁ、そんな8bit/16bitパソコン向け「ぽっぷるメイル」なのだが、パソコン版では全体的にキャラクターがかなりちっこく描かれており、それを操作して横スクロールのフィールドを体当たりで暴れ回るアクションゲームとして仕上がっていた。
リメイク移植版となるメガCD版は全体的にキャラクターをかなり大きく描写するようになった。敵も味方もかなりサイズが大きくなっており、その分ディティールもかなり細かく描かれている。メイルのアクションも剣を振る動作が加わったことでゲーム性はかなり変化しており、操作した時の挙動は、個人的にはセガの「ワンダーボーイ モンスターランド」のようなテイストのゲームに仕上がっていると感じた。
本作のストーリーは基本的にはパソコン版と同様で、マリオネット強盗団の首領、ナッツ・クラッカーとメイルとの追いかけっこから始まるオープニング、そして賞金稼ぎとして最後のひと稼ぎということで、大物の賞金首、マテリアルを追っていく中で、そのマテリアルを師匠と仰ぐ魔法使いのタットと出会い、といった形で様々な冒険に挑んでいくといった大筋のストーリーは同じように展開していく。
ボタン操作はジャンプと剣を振るのみと非常にシンプルなメイルの各種アクションが非常に滑らかかつ、スムーズに操作できるので、プレイしている感覚は非常に良好だ。本作の特徴として、横スクロールのフィールドに縦の要素も加わった迷路がうまく構築されており、正しいルートを探すのにちょっと苦労する作りとなっている。これらフィールドの構造についてはパソコン版の良さをうまく融合している印象を受けた。なお、アクションが苦手な人であってもメガドライブ2なら中断セーブがあるので、こうした苦労するポイントでも、うまく活用する事でスムーズに抜けられるのがありがたい。
メイルの細かな動きもコミカルな要素が色々と足されており、崖っぷちすれすれになると、バランスを取って落ちないようにするといったアクションなど、メイルのキャラクター自体が見ていて飽きない作りになっているのもメガCDならではのポイントだ。
さらにメガCDならではの特徴として、オープニングでのアニメーション描写が大幅に増加。メイルが動いたり、爆発したりといったアニメーションがより派手で見栄えのよいテイストにアップグレードしている。さらにさらに、声優として林原めぐみ氏をメイル役に起用し、ゲーム内でも要所での会話は音声付きで表現するようになっており、メガCDならではの魅力が詰まった1本に仕上がっている。
今回は最初のボス「ウッドペッカーペンチ」を倒して次のステージに進むところまでしか試せなかったが、ボリューム満点の横スクロール迷宮アクションを堪能できる1本として、メガCD版「ぽっぷるメイル」は魅力的なタイトルと言えるだろう。
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