チューハイなど酒類の多様化で出荷量の減る日本酒業界は、コロナ禍による会食の自粛でさらに打撃を受けている。岡山県の酒造業者でつくる「岡山県酒造組合」は、JR西日本とともに県内24の酒蔵と連携し、一人でも複数の酒を飲み比べられる100ミリリットルサイズのミニボトルをそろえた「OKAYAMA SAKAGURA COLORS(おかやま酒蔵カラーズ)」を開発・販売している。関係者は「少量で試し、自分好みのお酒を見つけてほしい」と呼びかける。
飲みきりサイズで
「かつて日本酒は一升瓶(1・8リットル)や四合瓶(720ミリリットル)で販売することが多かったが、好みのお酒かどうかわからない人にとっては、それだけの量を購入するのはハードルが高い。1本100ミリリットルならお試しで味わえるのが魅力です」と岡山県内の酒造業者でつくる県酒造組合の貝原康郎専務理事がミニボトルで日本酒を販売する意図を説明する。
酒造組合とJR西は令和2年から飲み切りサイズのボトルをそろえた「おかやま酒蔵カラーズ」を販売。県内の酒蔵と連携した24銘柄をセットにしたコンプリートBOX(1万4300円)と、今季は新たに県特産の酒造好適米「雄町」で作られた14銘柄をセットにした雄町米BOX(9350円)を新発売。JR西は「個性豊かな県内の地酒を味わうことで、改めて岡山の魅力を感じてほしい」としている。
おかやま酒蔵カラーズは、岡山駅構内の土産店やJRサービスネットのウェブサイト「岡山駅ナカお土産ネットショップ」で販売されている。
自粛の影響大きく
「コロナ禍は大打撃。お酒を飲む習慣が変わってしまった。飲食店に人が来ない。蔵にも注文が来ない。今シーズンの忘年会・新年会は前シーズンに比べると少し持ち直したが、それでもコロナ以前と比べると少ない。オミクロン株の流行で、また見通しが暗くなった」と貝原専務理事。
飲食の場は特に新型コロナ感染拡大の場と指摘されるため、企業・個人を問わずあらゆる飲み会が自粛され、酒造業にとって深刻な影響を与えている。
岡山県北部のある酒蔵では、例年秋の祭りで一升瓶3千本の注文があった。しかし、コロナ禍で祭りが中止され注文がなくなってしまい、売り上げが大きく減少したという。
時代の変化も大きい。貝原専務理事は「かつて家の近所には酒屋があり、家庭には一升瓶があった。今はスーパーで冷蔵庫に入りやすい紙パックでお酒を買う時代になった」と話す。
多様化する酒類
農林水産省によると、日本酒の国内出荷量は平成10年には約110万キロリットルあったが、年を追うごとに減少。令和2年には約42万キロリットルに落ち込んだ。ビール類やチューハイといった他のアルコール飲料などとの競合が背景にあるという。
時代の変化、そしてコロナ禍の影響で日本酒文化はどうなるのか。貝原専務理事は「感染対策のアクリル板で仕切られた飲食店内では、かつてのように差しつ差されつでお酒を飲むことはできなくなってしまった」と嘆く一方、「これからは手酌でマイペースで会話や料理とともにお酒を楽しむようになる。日本酒は海外からの評価も高い。じっくり味わう飲み方を提案していきたい」とミニボトルを通じ多くの人に味わってもらうことを願っている。(高田祐樹)
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商品の問い合わせはJRサービスネット岡山駅ナカお土産ネットショップ(086・223・0707、平日午前9時~午後5時)。
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