シャシーナンバー12335/G10S がヒュー・ディクソン・カーに納車されたとき、ベッドフォードスクールの生徒だった若者に与えた衝撃は容易に想像できる。16歳のリチャード・ニールがこれで運転を習ったときの様子は想像するしかない。彼が、センター・アクセルペダル(左からブレーキ、アクセル、クラッチペダルの配置)されていることに驚いたかどうかはわからない(当時は、BAC配置はめずらしいことではなかった)。
実際にはすぐにそれに慣れたかもしれない。他に運転経験がなかったのであれば、その違いにすら気づかなかっただろう。現代の標準からしても小さい車ではないが、それにもかかわらず長身のドライバーには窮屈で、快適ではない。英国式に"肩で回す"大径のブルーメル製スプリングスポーク・ステアリングホイールは回すたびに大腿部を擦るし、ウィンドウスクリーンの上から前方を見るか、下にかがみ混んでガラス越しに見るかの判断を迫られる。おそらく座席が当時の平均より高くされているのだろう。ヒュー・ディクソン・カーは結構大男であったし、ラゴンダ社の会長、アラン・P・グッドも身長6フィート5インチ、体重は20ストーン(127kg)以上という体格だったらしいからだ。
幸運なことに今日は晴天だ。トップをあげる必要はない。LG45のソフトトップは、特別な漏水対策としてヘッダーレールがしっかりと取り付けられ、トップを装着すれば100マイル走行に対応した完璧で快適なツーリングカーとなる。右側にあるギアレバーは大きなレッグルームを生み、カットアウェイされたドアは同じく肘にゆとりを与える。そのギアチェンジは、驚くことに今でもよく効く2〜4速のシンクロメッシュによって痛快で簡単だ。2速から3速へは時によっては少々トリッキーかもしれないが、練習によってすぐに克服できるはずだ。シフトダウンについては、ダブルクラッチを使えばさらに容易だ。後退はギアレバーのトリガーを引いてロックを外し、レバーを正確に下ろすと入る。4.5リッターストレート6は2基のSUキャブレターを備え、3速のアイドルからでも引っ張る膨大なトルクを秘めている。すなわち、回転計のレッドゾーンの4000rpmまで引っ張る必要は滅多にない。
低回転域からパワフルなため、英国のA・B級国道において交通の妨げになることを心配する必要はない。速度に起因する騒音は、スリップストリーム入ると払拭される。ラゴンダにはAロードのほうが似合うが、実際のところは、プアな路面上での突然のキャンバー角の変化によって、フロントビームアクスルは歪められる。そして路面の凸凹はサスペンションを通して車体に連続振動を起こす。ステアリングは車が動いていたとしても、まだ重い。
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