中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する際の条件について公表した。2月24日に「Preconditions for a general-purpose central bank digital currency(汎用的な中央銀行デジタル通貨の前提条件)」と題した声明を発表している。
FRBはCBDCの発行条件について次の5つの項目を提示した。
- 明確な政策目標:現状抱える課題を解決するためのものなのか、将来的な可能性を実現するためのものなのか。米国では決済システムの安定性を実現するものでなければならない。
- 幅広い利害関係者からの支持:政府機関、エンドユーザー、金融機関、技術・インフラ提供者、学識者、標準化団体などによる包括的な議論が必要。
- 強力な法的枠組み:FRBの役割は、貨幣に対する国民の信頼を守ること。そのためには健全な法的枠組みが必要になる。具体的には、法的権限や通貨の地位、AML/CFT、プライバシー保護、責任などについて明確にしなければならない。
- 市場の準備:市場の準備とは、CBDCを発行する際の適切なタイミングのことを意味する。CBDCは、利用する意思のあるエンドユーザーがいなければならず、CBDCをサポートするためのエコシステムが整備されていなければならない。
堅牢なテクノロジー:テクノロジーは、場合によってはデジタル通貨の設計と機能に影響を及ぼす可能性がある。新たに特定の新技術を開発する必要があるかもしれない。
CBDCに期待する各国の狙い
FRBで議長を務めるJerome Powell氏は、デジタルドルに関する国民との協議において2021年が極めて重要な年になると宣言している。国民との協議は常にオープンであることを心がけるとし、世界中の中央銀行とも協力していく方針を示した。
一方で、CBDCの発行に際しては技術的課題と政策的課題が存在するとし、既に存在している民間銀行を弱体化させるようなことがあってはならないとも主張している。
バイデン政権下で財務長官を務めるJanet Yellen氏も、CBDCについては次のようにコメントした。
「中央銀行が独自のデジタル通貨を発行検討することは理にかなっています。あまりにも多くのアメリカ国民が、支払いシステムや銀行口座にアクセスできていません。この問題に対しては、CBDCが一つのソリューションになると考えています。」
【参照記事】Preconditions for a general-purpose central bank digital currency
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株式会社techtec リサーチチーム
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