無名の監督のきらりと光る名作を掘り起こしたり、海外の芸術性の高い作品を専門に扱ったりして、映画文化の発展に貢献してきたミニシアターが経営の危機に瀕している。
帝国データバンクのまとめによると、映画館運営業者97社の2019年度の収入高合計は前年度比8.8%増の3224億2200万円だった。(2014-19年度の5年連続で収入高が判明する会社を集計対象としている)
19年度は公開本数が増加したことに加え、『天気の子』『アナと雪の女王』『アラジン』『トイ・ストーリー4』など興行収入100億円を超えるヒット作に恵まれたことが、増収に貢献した。
映画運営業者97社を収入高別にみると、「1億円未満」が46社で最多、次いで「1~10億円未満」が31社。いわゆる「ミニシアター」などと呼ばれる「10億円未満」の小規模運営業者が全体の79.4%を占める。
19年度の収入高トップはTOHOシネマズ(全国70カ所660スクリーン/20年2月末)で、912億1400万円。5位まではシネマコンプレックスを運営する5社が占めた。上位5社の収入高合計は全体の75%に当たる2465億4300万円に達する。
映画館運営収入高上位5社の業績
出所 : 帝国データバンク
収入高50億円以上の大手・中堅シネコン運営業者8社は、7社が増収、1社が横ばいとなるなど、総じて業績好調。一方、圧倒多数を占める10億円未満の小規模運営業者は40社が横ばい、17社が減少で苦戦を強いられており、大手・中堅と小規模事業者との二極化が鮮明となっている。
収入高規模別業績比較(2019年度)
出所 : 帝国データバンク (横ばいは±3%未満)
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言期間中の休館や、その後も座席数制限、飲食制限など運営面ではかつてない厳しい制約を受けた。一方、10月公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、『タイタニック』(1997年、262億円)を上回り(11月29日時点)、邦画・洋画を合わせた歴代興行収入2位となっている。同作のヒットは映画界にとって朗報ではあるが、同作を扱わない小規模事業者には恩恵はない。帝国データバンクでは「大手・中堅と準大手の二極化はますます進む。体力のない小規模運営事業者の廃業もしくは倒産などが進む可能性もあろう」と分析している。
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December 03, 2020 at 07:59AM
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ミニシアター受難の時代 : 大手シネコンとの二極化鮮明 - Nippon.com
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