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Tuesday, May 5, 2020

【時視各角】「太永浩たたき」より100倍重要なこと=韓国(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース

2008年に国家情報院が大騒ぎする事件があった。平壌(ピョンヤン)から海外医療機関に送る金正日(キム・ジョンイル)総書記の脳の写真をハッキングで入手したという事実がある月刊誌の取材網に掛かったからだ。莫大な予算を投入して構築しておいた情報網が台なしになり得る事案が漏れたことで、問責人事が続いたという話もある。国家情報院は金正日総書記の余生が長くて5年と判断したが、実際、2011年に死去したのは北朝鮮の発表を見て分かった。韓国だけでなく全世界が同じだった。北朝鮮指導者の生死情報はそれだけ把握が難しく、油断は禁物ということだ。

金正恩(キム・ジョンウン)委員長の20日間の潜伏はハプニングで終わった。政府は特異動向がないという判断を一貫して維持した。評価されることであり、今後もそうであることを望む。

今回の事態の本質はハプニングで終わった結末にあるのではなく、北朝鮮体制の閉鎖性と測定不可能性を再確認させた過程にあるというのが筆者の考えだ。核を持つ政権の閉鎖性と測定不可能性は危険性の同義語だ。金正恩委員長はいつでもその気になれば潜伏騒動を起こし、世界を相手にかく乱戦術を展開できる。もう一つ、金正恩委員長の再登場の画面で筆者が注視したのは、金正恩委員長の歩き方よりも妹の金与正(キム・ヨジョン)第1副部長がテープカットのはさみを金正恩に渡す動作だった。いざという時には代理統治するという実質権力ナンバー2が第1人者にそのように仕える姿こそが北朝鮮の素顔だ。そのような体制の指導者と否応なく交渉し、頭脳の争いもしながら口論、駆け引きをしなければいけないというのが我々の宿命だ。

こうした厳重な状況を勘案すると、金正恩委員長の健在が確認された翌日の青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)の言動は適切だったとは言いがたい。青瓦台関係者と報道官は順に記者の前に出てきて「対北情報筋よりも韓国政府の当局を信頼すべきということを確認する契機になればよい」と述べた。なぜ韓国政府の圧倒的な情報力とノウハウを対北朝鮮情報筋と比較して自らを格下げしなければいけないのか。太永浩(テ・ヨンホ)氏と池成浩(チ・ソンホ)氏の2人の議員当選者の軽率な言動は批判を受けるべきだが、青瓦台が政治初心者にすぎない脱北者たたきに率先するのも理解できない。与党報道官に任せればよいことではないのか。

青瓦台は国民にこのようなメッセージを伝えるべきだった。「政府はあらゆる可能性に備えて情報網を総動員し、友好国との協力体制も稼働した。国民は驚いただろうが、すべてのことを明確にすることはできないということを理解してほしい。北朝鮮の特性上、今後も似たことが再発する可能性がある。政府は国家安全保障と国民の安全に最善を尽くすので、国民も不確かな情報に動揺しないことを望む」。

今回のインフォデミック(情報伝染病)を起こした感染源は金正恩委員長だ。スーパースプレッダーはCNNをはじめとする西洋の有力メディアだった。有力情報源の伝言としながら「金正恩委員長は死亡と変わらない昏睡状態」と述べた張誠ミン(チャン・ソンミン)元青瓦台国政状況室長、「心血管手術は事実のようだ」と話した尹相ヒョン(ユン・サンヒョン)国会外交統一委員長ら元・現政治家を通じた「地域社会感染」が続いた。中国発SNSに出てくる噂を伝えた一部の日本メディアも感染経路となった。こうした形でインフォデミックが広がる間、政府は防疫の努力をしたのかをチェックする必要がある。我々の情報資産を毀損しない範囲内で政府がより積極的かつ効率的に対応していれば、CNNの誤報の拡大再生産を初期に遮断できたはずだ。少し遅れて大統領特別補佐官の文正仁(ムン・ジョンイン)教授が元山(ウォンサン)滞在情報をもとにFOXニュースのインタビューに応じたことだけでは十分でないということだ。

金正恩委員長の潜伏はいくらでも繰り返される可能性がある。それがかくれんぼではなく実際の異変である可能性に備えた方策を繰り返し点検することが政府がやるべききことだ。「太永浩たたき」より100倍も重要なことだ。

イェ・ヨンジュン/論説委員

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