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Friday, May 8, 2020

「突貫でも作らなければ」オンライン授業化に重要なポイントとは? - リセマム

 花まる学習会と進学塾部門スクールFCを運営するこうゆうは、2020年5月7日「花まるオンライン」「オンラインFC」本格始動について、オンライン記者発表会を開催。花まる学習会 代表の高濱正伸氏、事業部長の相澤樹氏、花まるグループ スクールFC 代表 松島伸浩氏が、準備から本格始動に至るまでに得た知見や手応えについて語った。

 昨今の状勢を受け、こうゆうは「まずは子どもたちと保護者の皆さまに“安心”をお届けする」ことを最優先に、4月13日よりオンライン授業を推進。動画配信にとどまらず、オンライン上で子どもたちと向き合い、ひとりひとりの顔を見ながら授業を進める「双方向のライブ形式」で学習機会を提供している。花まる学習会だけではなく、同グループの進学塾であるスクールFCにおいても3月上旬から「ZOOM 自学室」をオープン。試行錯誤と積み上げてきた経験値があったからこそ、いち早く全社をあげたオンライン授業化に踏み切ることができたという。

YouTuberに勝つくらいの授業を追求

 会見の冒頭で高濱氏は「1月初旬のころはコロナはインフルエンザと変わらないのではないか…などと私も考えていましたが、医療関係者や専門家との交流から、これは今までとは違うウイルスだということがわかり、意識改革をし、最悪のケースに備える決意をしました」と語った。

 「四苦八苦、いろんなことを議論してきました。突貫でもオンライン授業の環境を作らなければと思いながら実現できたのは、やる気のある若手社員のおかげです。オンラインのド素人の私が引っ張る会社でつかみ取ったことを、教育に携わるすべての人たちに向けて伝えたい。備えをしましょう、できますよ、と伝えたいです」と力強く話す高濱氏は、このコロナ禍の数か月で得た知見からオンライン学習について2つのポイントを説いた。

 1つ目のポイントはユーザー評価によって洗練された「オンライン講義」。オンライン授業では受け手である子どもたちの評価によって最適化されていく必要があり、説明がわかりやすい、聞いていて楽しい、専門性が高いなど、純粋な指導力が求められるという。2つ目は「コミュニケーション」。子どものことをわかっているという承認の機会を提供し、子どもの特性や伸びている力、今後の課題がわかる人材が求められている、とオンライン授業において重要なポイントを示した。

オンライン学習のポイント
 「授業が終わった後に『あー終わった。ゲームしよう』となっては意味がない。授業の後に子どもたちの主体的な行動が起こることが重要です。デジタルネイティブの子どもたちにとって画面の向こうの相手はYouTuberと同じです。YouTuberに勝つぐらいの楽しい授業、授業後に子どもたちが何かしたくなる授業を提供していくことが大切」と語った高濱氏。「コロナは今後も、第2波、3波は必ず来る。元の授業に早く戻りたい、と思っていたらやることがなくなってしまいます。オンラインで完璧な授業を提供できるように追求していかなければなりません」と、逃げ場がない現状を受け入れるよう訴えた。

保護者と子どもの負担・不安は解消できるか?

 保護者も子どもも、今までなかった負担や不安を感じている中で、「変化を嘆くのではなく、何ができるのかを考えぬいた結果として、『花まるオンライン(年中~小6)』が提供する授業は、学校がないことで崩れた子どもの生活のペースを立て直し、保護者の負担や不安を解消するために、ペースメーカーの機能をもつことを重視した」と相澤氏は語った。

 動画配信「まいにち花まる」は、通塾の際の週1回の花まる授業を、週5日、1日1回10~15分に分けた動画から学ぶ。コツコツと取り組むことで学習習慣の定着を図り、学習の土台を固め、学習のペースメーカーとして活用することを狙っている。当初は毎日4回ライブで授業を実施しようとしたが、通信状況や子どもの集中力などを考えた結果、火曜日から土曜日までは午前7時に録画した動画を公開し、いつでも見られるようになっている。

 併せて「花まるスタディルーム」というライブで行うアクティビティを、通塾の曜日と同じ時間帯に開催。子どもたちは自宅から特別ミッションに挑戦し、学びをさらに楽しく深められるよう工夫されている。アクティビティの例として自宅から「家にある四角いものを見せて!」というミッションに挑戦する子どもたちのようすが映された。

事業部長の相澤樹氏による「まいにち花まる」の説明
 「花まるスタディルームをやってみた副産物として、私たち講師もやる気になる、子どもたちとともに頑張ろうと感じたということがありました。子どもたちも皆と一緒に学習できることから、刺激し合える場になりますし、発表できる場、承認の場になっています」と語る相澤氏。

 保護者からは、「学習の習慣が身に付いてる」「普段の花まる学習会でのようすを見ることができた」「家にいるので安心して発言するようになった」「学校も塾も不登校になってしまっていたが、オンラインになって再び参加できるようになった」という声があったという。複数の子どもたちの声が気になり気が散らないか心配な点もあったそうだが、「子どもというのはワーワーと言い合いながら学習する時間も大切なので問題ない」と言い、子どもたちが抵抗なくオンライン学習に取り組んでいるようすを伝えた。

事業部長の相澤樹氏による「花まるスタディルーム」の説明

学校がなくても受験生の学習習慣を維持

 一方、中学受験から高校受験まで対応している花まるグループの進学塾部門「スクールFC」では、3月4日からオンライン自学室を提供してきた。松島氏は「自学できる子どもを育てるためにスタートしたオンライン自学室は、任意の参加にもかかわらず、現在6年生の9割以上が参加しています。通学時間がないのでリアルな自習室より気軽に参加できているようです」と説明。オンライン自学室での子どもたちのようすを見ながら準備を進め本格始動した「オンラインFC」は、「楽しさ、温かさ、自立」を大切に考え構成したという。

 「ホームルーム」「学習タイム」「終わりの会」の3つで構成されているオンラインFCは、「学習タイム」の双方向のライブ授業はもちろん、「ホームルーム」と「終わりの会」を設けることでコミュニケーションのための時間が多くなっている。保護者と生徒からは「オンラインのほうが気軽に質問できる」「動画を何度も見られるのでわかりやすい」「見直しに動画視聴できる」「みんな頑張っているのを見て刺激になった」などの声が寄せられている。

スクールFC 代表 松島伸浩氏による「オンラインFC オンライン授業」の説明
 「受験は最終的には自分とどう向き合うかです。オンラインだからこそ楽しく、温もりを感じながら、自立し自学できる子どもを育てる仕組みを提供しています」という松島氏は、「オンラインのほうが質問できる生徒がいることは発見でした」とデジタルネイティブの子どもたちの高いネットコミュニケーション力を感じた経験を語った。

 「子どもたちが今一番欲しているのはコミュニケーションです。今回、AIの進化や、自然災害と向き合う正解のない世界を生きているということを目の当たりにしました。みんなで知恵を出し合い、支え合い、子どもの学習を継続していく姿を子どもたちに見せていくことが求められていくと思います」と今後の教育に必要とされるであろう観点を説いた。

スクールFC 代表 松島伸浩氏による「オンラインFC オンライン自学室」の説明
 トップが意識改革し、早急なオンライン学習環境の整備を決断。若いスタッフたちが柔軟に動き、試行錯誤を繰り返しながらも並行して準備を進め短時間で実現、という理想的とも言えるような花まるグループのオンライン授業対応。私塾だから可能だったという見方もあるが、同様の意識改革と決断ができるトップと、すでにデジタルを使いこなしている若い教育者たちの柔軟な思考と行動力が備わっている教育現場であれば、オンライン授業対応は早急に実現できると感じた会見だった。

 子どもたちの学びを止めないために平等な学習環境を整えたいという気持ちは、塾も学校も同じだろう。大人たちが知恵を結集しコロナ後の日本の教育をどう変えていくのか、引き続き注目していきたい。

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May 08, 2020 at 12:30PM
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