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Saturday, February 29, 2020

EV版「ミニ」は、ゴーカート感覚のある都市型の“大衆向け”モデルに仕上がっていた:試乗レヴュー|WIRED.jp - WIRED.jp

ミニ初の完全なEV「ミニ クーパーSE」が、3月に欧州で発売される。この小型EVはミニならではの“ゴーカートフィーリング”をもっており、しかも都市型の小型EVにふさわしい性能と機能をもっていた──。『WIRED』UK版による試乗レヴュー。

WIRED(UK)

Mini Electric

PHOTOGRAPH BY MINI

BMWの小型ブランド「ミニ」の電気自動車EV)として、「ミニ クーパーSE」が2020年に最も熱く期待されているクルマのひとつである理由はいくつかある。ひとつは、このアイコン的な「ミニ」のブランドで購入できる初の完全なEVである点だ。人によっては、09年にEVのプロトタイプ「ミニE」を6カ月間のモニターとして貸し出す実証実験があったことを覚えているかもしれない。

もうひとつの理由は、BMWグループにおける完全なEVの主力モデルとして、ミニ クーパーSEが「BMW i3」を置き換えることだ。そして3つ目は、少数の富裕層をターゲットに環境に優しく高性能であることを訴求するモデルとは異なり、大衆向けのEVになること。つまり、ロータス「Evija(エヴァイヤ)」やアストンマーティン「Rapide E(ラピードE)」、ポルシェ「Taycan(タイカン)」とは位置づけが異なる。

英国では政府の補助金を使うと24,400ポンド(約350万円)から購入できるミニ クーパーSEは、BMWグループのEVのなかで最も新しいだけでなく、最も低価格だ。価格は13年に発売されたEVのBMW i3より安くなっている。

このことから、ミニ クーパーSEがBMWという高級ブランドにおいて、飛び抜けて重要である可能性について議論することになる。学校の送り迎えや買い物、平均的な通勤や休日の海辺へのお出かけといった用途にクルマを使う人たちの心を変える、意義深い戦いが始まるのだ。

Mini Electric

PHOTOGRAPH BY WIRED UK

ミニであることの利点と欠点

最大の利点にして欠点でもあるのは、ミニ クーパーSEがミニの既存のアーキテクチャーに基づいて構築されていることである。これは既存のエンジン版ミニに手を入れるだけでうまくいくことを、BMWグループが理解していたということだろう。同時にi3が当初からEVとして構想され、設計されたことによるメリットをまったく享受できないということでもある。

従来型のパワートレインがなくスペースを節約できる利点を生かし、軽量化やむだのない室内空間を実現できていると考えてはならない。既存のミニに手を入れただけなので、ミニ クーパーSEならではの利点は特にないのだ。ホンダのEV「Honda e」と比較すると違いがわかる。

この違いが意味するのは、ミニ クーパーSEには古くから慣れている親しみやすさがあるということだ。すぐにくつろいだ気持ちになれるので、それは悪いことではない。

発車と停車の際に騒音がしないことにも驚くだろう。もちろん歩行者にクルマの存在を知らせるために特別に設計された音は出るが、ミニ クーパーSEはとても静かで、音を聞くには耳を澄ませなければならない。

バッテリー残量とカーナビが連携

車内には、完全なEVに最適といえるデジタル表示の計器類とセンターディスプレイがある。いまは量産型EVの時代が始まったばかりなので、エンジンに慣れ親しんだ消費者の興味をひくために、ミニを含む自動車ブランドはさまざまな装備を搭載している。例えば、派手なディスプレイとオプション装備の標準化といった具合だ。ずっとそうであるわけないので、この感覚をしばらく楽しんでほしい。

Mini Electric

PHOTOGRAPH BY WIRED UK

5.5インチのカラーデジタルディスプレイは、エネルギーの流れや航続距離といったさまざまな情報を表示する。ナヴィゲーションは、応答性が高くて明るく鮮明な中央に配置された6.5インチのタッチスクリーンで利用できる。

最新の交通情報がナヴィゲーションに反映され、クルマの航続距離が更新されるのは便利だ。この機能などのために、通常ならミニにオプション設定されている衛星ナヴィゲーションが、ミニ クーパーSEでは標準となっている。バッテリー残量が少なくて目的地までたどり着けないとクルマが判断した場合、残りの航続距離で行ける公共の充電ステーションへとルートを変更し、充電できる仕組みになっている。

高機能なホットハッチ

今回試乗したモデルには、写真のようにハーマンカードンのサウンドシステムやヘッドアップディスプレイのほか、中央のアームレストにはスマートフォン用のワイヤレス充電機能がある。また、8.8インチの非常に大きいインフォテインメント用タッチスクリーンなどが、追加で備わっていた。これらはオプション装備になる可能性が高い。

もちろん、車内の広さは大人4人分ある。だが、もしミニ クーパーSE専用のシャーシを開発していたら、もっと広くできたのではないか、という疑問は残る。とはいえ、仮に専用のシャーシなら、クーパーSEと同等モデルとなるエンジン版の「クーパーS」よりも600ポンド(約86,700円)も安い価格にできただろうか?

ホットハッチであるミニ クーパーSEは、時速0-100km加速が7.3秒で、最大出力は184hp、トルクは270Nmと、エンジン版のクーパーSとスペックが近い。ただし、最高速度は時速93マイル(同約150km)に制限される。

man driving MINI electric

PHOTOGRAPH BY MINI

EVでもゴーカートフィーリング

ミニのマーケティング資料では、ミニ クーパーSEの路上での「ゴーカートフィーリング」についても言及されている。ミニ特有の乗車体験は、もちろんクーパーSEでも体感できるのだ。タイトなコーナーを曲がったり脇道から加速したりする楽しさと、着座位置の低さゆえに地面に近い感覚の両方を味わうことができる。

ミニ クーパーSEのアクセルの反応は、特に賞賛に値する。反応がよく、なおかつ微調整もできるのだ。求めているパワーを引き出すために最適な踏力を考えたりする必要はない。

クーパー SEには、4種類のドライヴィングモードがある。ステアリングの反応がダイレクトで加速が鋭くなる「Sport」、マイルドなステアリング特性の「Mid」、アクセルの反応が緩やかになるエコモード「Green」と「Green+」だ。

このうち、「Mid」がミッドがベストであると感じた。というのも、強い回生ブレーキがかかるようになっているとき、指先の操作ひとつで簡単に回生ブレーキを軽くできるからだ。最適な回生ブレーキの強さを自在に得られるので、数マイルのうちにワンペダル走行にすっかり慣れ、ブレーキペダルを使わずに済むようになる。

どちらかといえば都会向き

ドライヴィングモードがもたらすもうひとつの利点は、航続距離が延びることだ。WLTP基準での航続距離(電費)は、ミニ クーパーSEで最大145マイル(約233km)となっている。今回の試乗ルートは約70マイル(約112km)で、かなりの時間はライトをつけており、ナヴィゲーションで指定されていない脇道の迂回路を走行した。それでもバッテリー残量は半分にもならなかった。

スポーツモードは強力だが、決して扱いにくいわけではない。エコモードは間違いなく価値があるが、クルマから大きな楽しみを奪ってしまう。つまり、20マイル(約30km)も運転していると、EVを運転していることを完全に忘れてしまうのだ。ところが、ひとたび足をペダルに下ろすと、あのゴーカートフィーリングが再び顔を出す。

航続距離が145マイル(約233km)だけに、長距離ではなく都会での運転のほうに向いていることは明らかだろう。この点は、テスラのEV「モデルX」の隣にクルマを止めたときに、特に実感させられた。サイズの違いを考えれば、ミニ クーパーSEのほうが都会向きだと思わずにはいられないだろう。

Mini Electric

PHOTOGRAPH BY MINI

EV化されてもトランク容量は維持

ミニ クーパーSEには、AC(交流)とDC(直流)の充電に使う家庭用と公共充電用のケーブルが標準で付属している。50kW(DC)の急速充電ステーションでは、わずか36分でゼロから80パーセントまで充電できるという。11kW(AC)の場合は、150分かかる。自宅で家庭用電源[編註:英国の240Vの場合]を利用する場合、12時間はみておかなければならない。

ミニのエンジニアが克服しなければならなかった主なハードルは、パワートレインを前方に移すことと、もともとエンジン用のパワートレインと排気システムがあったスペースにバッテリーを詰め込むことだった。これによりバッテリーが大きくなり、航続距離が延びると期待する人もいるかもしれない。実際には、運転席と助手席の間と後部座席の下の床に、32.6kWhの12モジュールのリチウムイオンバッテリーパックがT字型に配置されている。

バッテリーをこのスペースに押し込むことには、ひとつの利点がある。トランクルームの容量が損なわれず、従来モデルと同じ211ℓを維持できているのだ。

ちなみに、バッテリーの保証期間は8年間または10万マイル(約16万km)となっている。kWhあたり平均0.163ポンド(約23円)という電気代の計算に基づくと、ミニ クーパーSEを完全充電するには5.31ポンド(約767円)かかる。1マイルの走行にかかるのは4ペンス(約6円)だ。

「i3」にとって代わる価値

BMWグループにとって、ミニ クーパーSEの投入は大きな賭けと言っていい。BMWの開発と比べて費用が切り詰められていることもあり、重量とバッテリー容量に妥協しているという事実から逃れることはできない。

そうは言ってもミニ クーパーSEには、ほかにはない特長がある。運転は楽しく、わくわくするほど応答性が高い。だから、この完全なEVを試すことを楽しみにしている人は、がっかりすることはない。クルマを再設計せずに既存のアーキテクチャーを使っているにもかかわらず、ミニ クーパーSEにはi3にとって代わる価値がある。

だが、ミニ クーパーSEにとって何よりも最高の賞賛は、パワートレインが変化したことについて一切考えなくていいことだろう。あくまで、ミニはミニである。しかも素早く走り、完全充電にはたったの5ポンド(約700円)しかかからないのだ。

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March 01, 2020 at 10:00AM
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